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★4 | Swallow スワロウ(2019/米) | 他人の身体、消化器官としての「家」(社会)。対して「異物」としての主人公。異物のままに排出され、何ものにも包摂・消化されず、異物のままに生きるということ。一見スリラーのフリしたフェミニズム映画に見えるのだが、実はそれにすらも背を向けている孤高がある。身体性とテーマを重ねた演出はこの点、一貫して見応えあり。私のこころも体も、私のものだ。 [review] | ゑぎ, けにろん | [投票(2)] |
★4 | 茶目子の一日(1931/日) | シュール。人が物や生活を支配しているつもりになっているのは大きな思い違いではないか、という気持ちの悪い気付きがある。物と生活が人を支配するのだ。(服を着るのではなく着られるシーンで安部公房の『壁』を想起した)作り手がその気なのかわからない脳天気がまた異様で、自由意志が蹂躙されてるようにも見える結構なホラーフィルム。(寒山さんのレビューで興味を持ち、調べたところ、YouTubeで視聴出来ました) | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★4 | ライトハウス(2019/米) | 潜在的欲望と罪悪感で自分の首を絞め、現実も夢想も全てが懲罰の暗示になってしまい、閉鎖空間でクソまみれになって自滅する。それが古臭い男根的価値観に根差していることなどへの嗤い・諧謔を含むことなども含めて『シャイニング』(当然にキューブリック版)っぽい、というのが素朴な感想。霧笛がめっちゃ禍々しくて素晴らしい。(注:レビューにいくつかの性的表現を含みます。少し追記) [review] | けにろん, ゑぎ, 週一本 | [投票(3)] |
★3 | バクラウ 地図から消された村(2019/ブラジル=仏) | 清汚併せ呑む「マイノリティ」「逃亡者」のアジール。多様性だの人権だのとうるさい、面倒だから消えてしまえばいい、という「マジョリティ」の潜在意識。「今から数年後」とされる点から、大なり小なり、いずれ血の雨が降る、という「断絶」の予言的寓話として観るべきであり、混沌がジャンル映画的に簡潔な帰結に至るのもアイロニーの一つなのだろう、と思いたい・・・が。
[review] | ぽんしゅう, けにろん | [投票(2)] |
★5 | ゼロ・グラビティ(2013/米) | 人間がクルクルと無重力に翻弄され、「宇宙」が襲いかかる画は『2001年』を想起させるが、冷笑で支配するキューブリックとは真逆を行くエモーション。体の重さを失って心の重さを知る。心の重さを知って、大地を踏みしめる。これは「生まれること」についての物語だ。再突入シーンの「死と虚無に追いつかれないように速く!もっと速く!」という臆面もない熱さに射貫かれる。これをこそ待っていた。(修正改稿) [review] | pori, アブサン, Myrath, ナム太郎ほか10 名 | [投票(10)] |
★4 | ターミネーター(1984/米) | シュワの大根演技(誉め言葉)が稚拙な「人間ぽさ」を醸す時に、簡単に機械に模倣され還元されてしまう人間存在の危うさを呟いた押井のボサボサ髪が頭をよぎる。しかしそんな思念を容易くぶっ飛ばすビーンのどこまでも人間らしい汗臭さのコントラストが今なお熱い(ビーン万歳)。鋼鉄製のストーカーと漢とイモ姉ちゃんのSF三角関係。発想と単純化と突き詰めの執拗な反復と円環。そして「体液の作家」の真骨頂(か?) [review] | pori, 山ちゃん, 煽尼采, ナム太郎 | [投票(4)] |
★4 | ミリオンダラー・ベイビー(2004/米) | 正しく教わり、正しく教える。正しく教え、正しく教わる。ただそれだけのことになぜこうも心を動かされるのか。今日その理由は明白。しかしその「正しさ」が一瞬揺らぐとき、全ての「正しさ」の意味が失われ、人は選択を迫られる。そして、これまでも「正しかった」のか。その「一瞬」のあまりの重さ。あまりに重くてゲンナリするが、覚悟の上で「真の正しさ」を追求するのが人生だとE親父に諭されたらグウの音も出ない。
[review] | pori, jollyjoker, 赤い戦車, けにろん | [投票(4)] |
★5 | 八日目の蝉(2011/日) | 男性女性父母血縁という言葉の意味の瓦解を経て、「親」を再構築する小豆島シークエンス以降の「景色」が圧巻。父でありながら父であることが出来なかった男達と、母でありながら母であることが出来なかった女達。彼らが一様になし得ず、希和子がなし得たのは「子」に「景色=幸福な記憶をあたえる」ということ。その「ふつう」の決意の中において、全ての傷ついた女性だけでなく、男性も赦される。「聖なる景色」の映画。泣いた。 [review] | ジェリー, 3819695, にゃんこ, ありたかずひろほか7 名 | [投票(7)] |
★3 | トマホーク ガンマンvs食人族(2015/米) | 『ブルータル・ジャスティス』から逆走して観た。穴居人はネイティヴ・アメリカンとは峻別して提示されるが、「白塗りの黒人が白人を駆逐する」という『ブルータル〜』のモチーフを踏まえると、やはりここでも登場する黒い肌を白く塗った未開のモンスターのイメージには監督の強迫観念的なものがあるのかなと思う。 [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★3 | ジョジョ・ラビット(2019/米) | ヒトラーに傾倒して世界を破壊するのも、女の子になびいて世界を救うも壊すも紙一重。無垢の希望と狂気を描くに究極的な題材なのだが、善意が溢れ過ぎている。もちろん、だからこその良さがたくさんあって否定したくないのだが、境界線上での爪先立ちのスリルというか越境する不健康さ、危うさが欲しい。 [review] | disjunctive, 緑雨, けにろん, ぽんしゅうほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(2007/英=仏) | 序盤から全体主義のゾンビが跳梁跋扈するあからさまな恐怖映画。ゾンビの巣窟=田舎。ここに「眉間に皺の”天使”」が降り立つ、というのが面白い。裏、もしくは真『松ヶ根乱射事件』(←ネタバレあり) [review] | disjunctive, 3819695 | [投票(2)] |
★4 | Mr.ノーバディ(2021/米) | 要するに回春ネタだというのが可笑しい(アツくなってきた!)。全編にわたり冗談、シャレが貫かれており、何度も観たくなる画も多い。殺戮をギャグにしようと思っても、凄惨な影を払拭するのは結構難しいもので、これがちゃんと出来るのは絶対偉いと思う。Don’t stop me now.Cause I’m havin’ a good time, havin’ a good time
! [review] | ゑぎ | [投票(1)] |
★4 | 仁義なき戦い 広島死闘編(1973/日) | 肉と酒とタバコしか喰らってないのだろうなあ、という男のギラつきが物凄く、画面のエネルギーは前作をも凌ぐが、テーマ性も前作があってこそ、本作ならではのものがある。文太が後景にいるのは、物足りなさではなく、こういう味わいと感じるべき。戦後のイエ的悲劇から個人主義へ。これも一つの日本。 [review] | 緑雨, 週一本, ぽんしゅう, おーい粗茶ほか5 名 | [投票(5)] |
★5 | つみきのいえ(2008/日) | お願い、もうそれ以上深く潜らないで・・・!(滂沱たる涙と共に) [review] | KEI, 水那岐 | [投票(2)] |
★4 | 地獄の警備員(1992/日) | 「許す?お前の何を許すんだ?」「どうする?それは、あんたが決めることだ」「お前はそれを理解することに耐えられない」・・・問いかける「異常者」、そして暗黒に染まる主人公と世界。黒沢清初期作でありながら観る者の「清指数」が問われる清一見さんお断り映画。 [review] | 3819695, けにろん | [投票(2)] |
★3 | パラサイト 半地下の家族(2019/韓国) | 落っことされた細部が魅力的過ぎてむしろ不可解な出来。「pretend(〜フリをする)」の主題が、なぜ「豊かな家族」側でも語りが貫徹されなかったのか。「豊かな家族」という「みたされた生活」「円満な家族」という「幻想」への「寄生」。その幻想を補完するためのツールとしての「半地下」だったとしたら?「寄生」を試みたのは「金満家族」側も同じだったことをもっと明らかにし、深彫りすべきだったのではないか? [review] | ゑぎ, けにろん, ぽんしゅう, 緑雨 | [投票(4)] |
★4 | 一度も撃ってません(2019/日) | 15年くらい前、新宿の某天ぷら屋の前に、「なんかすっげえおっかないけど異様にカッコいい、いかにも只者ではなさそうなおっさん」が佇んでいて、恐々遠くから見入ったら石橋さんだったことがあります。まんま、この感じでした。趣味が良いとはとても言えぬファーをまとった見知らぬ女性と夜の街に消えたのです。 [review] | セント, ぽんしゅう, けにろん | [投票(3)] |
★5 | ブレードランナー 2049(2017/米=英=カナダ) | 実存と生命と愛。滅びと対置される強靭なシンプリシティ。「魂」に触れる驚き。(再見して追記) [review] | pori, Myrath, Orpheus, ロープブレークほか9 名 | [投票(9)] |
★4 | マッドマックス2(1981/豪) | 「こんな世界でも、どんな生でも、生は承認される。生きたいように生き、死にたいように死ね。だが生まれたからには、いのちを燃やし尽くせ」。場違いな「Happy birthday to you」がイロニーでなく、福音であるというジョージ・ミラー流の生のアジテーション。『地獄でなぜ悪い』。 [review] | pori, けにろん, 週一本, 水那岐 | [投票(4)] |
★4 | 戦場のメリークリスマス(1983/英=日) | 「菊」に対置される「赤いハイビスカス」。「恥」と「誇り」。「神道」と「キリスト教」。象徴と象徴のせめぎ合いを暗示する数々の要素を負うという意味において、演技の巧拙は措いても、アイドル(偶像)のキャスティングが必要不可欠だったのだろう。ヨノイの「よろめき」をセクシャルな面だけで捉えてはならない。 [review] | pori, おーい粗茶, ぽんしゅう, ペンクロフほか5 名 | [投票(5)] |