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DSCHさんの人気コメント: 更新順(10/22)

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★4アトミック・ブロンド(2017/米)氷風呂。ウォッカのオンザロック。ワインクーラーの中の●●。クールに見せかけて燃えるように熱いというアイテムがロレインのキャラクタを説明している。そのマンガ的なあざとさを説得的にモノにしてしまうセロン女史の完璧さ。アイドル映画として十分なところブテラさんとの弩級の顔合わせで完全に鼻血案件化。 [review]3819695, おーい粗茶, けにろん[投票(3)]
★3ジェーン・ドウの解剖(2016/英)目を開けた死者と目を合わせると、何も見ていないはずの目が、何もかもを見通し、自分も何かを見透かされているようで怖い。「死体というモノ」と「ヒト」を分かつものが何か、生きている自分とは何かという命題にも否応なしに向き合わされる(私も簡単にモノに変換されるのではないかという恐怖。裏腹にモノとして扱う手つき)。大変おそろしい密室であるが、この感想は半ば私の勘違いである。たぶん。 [review]袋のうさぎ, けにろん[投票(2)]
★5この世界の片隅に(2016/日)ある映画で、「風はまだ吹いているか、少年よ」と彼岸の男は問いかけ、「はい、まだ吹いています」と此岸の少年は答えた。その、吹き続ける風に乗って、たんぽぽの綿毛は居場所を見つける。喜びと、悶えるような苦しみと虚しさを抱えながら、白昼夢のような光と記憶の断片で織り成された世界で、風はやまないのだ。 [review]おーい粗茶, 週一本, ぽんしゅう, さずほか7 名[投票(7)]
★4リアル鬼ごっこ(2015/日)制服、白いドレス、タンクトップ姿で蹂躙される「女性」。この取っ替え引っ替えはシチュエーション系のAVのそれであり、追尾・俯瞰・包囲するドローン撮影は、消費し搾取する野郎の視線そのものである。「スカートめくり」の幼児性が横行する「世界」は確かにシュールだ。性の寓話として底意地の悪い皮肉が貫かれ、嘘や照れのないマノエリ幼年期の儚いリリシズムと詠嘆は、ゲスの極みと対極に置かれて強度を増す。伏兵的傑作。 [review]ロープブレーク, 煽尼采, けにろん[投票(3)]
★4隠された記憶(2005/仏=オーストリア=独=伊)嘘とトラウマが炙り出され、関係性の仮面を破壊される時、崩壊状態こそが「日常」となる。しかしそのささくれた自覚に立たされた上で、再び「監視」されたまま「平穏な日常」に差し戻される地獄。「視る」という暴力へのサド的快感の共有と、「視られる」ことへの「疚しさ・罪悪感」に起因する嫌悪を観る者に同時に強いる定点カメラのサディスティック。逃がすまいと観る者を絡め取るハネケの加虐趣味的シミュレーション。 [review]寒山拾得, Orpheus, おーい粗茶[投票(3)]
★5シャイニング(1980/英)圧縮された狂気、禍々しい妖気で歪む空間を確かに捉えた最初の映画だと信ずる。「視えてない」時のほうが、より「視えそう」な感じがして怖い。絨毯と壁紙が邪悪。照明、音、グッと寄るカメラが邪悪。もろもろ邪悪。先生の美意識が炸裂する。バルトークとかリゲティとか、一番狂ってて正しいのはやっぱりあなた。先生ありがとう。余談だが・・・ [review]ロープブレーク, たわば, きわ, ぽんしゅう[投票(4)]
★4もののけ姫(1997/日)封じられた「飛翔(上昇)」。世界の業苦と憎悪全てを「タタリ(重み)」として背負う生命達が、ただ生きるため、つまりは「死に喰われない」ため、互いが互いをテロリストとしてしか認識しないリアリズムのアクション。世紀末的呪詛の大放出だが、私は支持する。これに震え上がることで見える意味もある。正直だと思う。いっそ氏にはタタリ神になっていただきたい。 [review]緑雨, Sigenoriyuki, Orpheus, 煽尼采[投票(4)]
★4ニューヨーク1997(1981/米)突然顔を出すゴージャス感(ガンエフェクト、キャスティング)と弛緩したB級真空的演出の落差が唯一無二の笑いを生む。「間」の悪さが天才的だが、批判を寄せ付けない「愛」のコク深く、最終的に漢気でつけるアウトロー的落とし前が熱い(ただし何がどうしてこうなったのかさっぱりわからない)。この「愛」を笑ってはいけないのかもしれない。ある意味卑怯。 [review]ゑぎ, 3819695[投票(2)]
★5イングロリアス・バスターズ(2009/米=独)映画に対する愛よりも、映画に徒なす者への憎しみ。転じて愛。 [review]ロープブレーク, 若尾好き, 煽尼采, ジェリーほか6 名[投票(6)]
★4ゴッドファーザー(1972/米)眼窩に影を落とすライティングが非常識と当時言われたそうですが、演出の必然性を考慮せずにそんなことを言い放った方に「あなたこそ非常識です」と言ってあげたい。オープニングの完成度だけでご飯何杯でもいける。「ファミリー」という言葉を前に、善悪・聖邪は境界線を失い、ついに一つに重なりあう。その描写が極めてフラットでドライであることの凄み。その分、単純な好みとして、ニーノ・ロータはやや過剰に思う。 [review]たろ, ALOHA, サイモン64, ナム太郎ほか7 名[投票(7)]
★3ナイスガイズ!(2016/米)享楽的で猥雑で軽い70年代感は及第点。ゴズリングのヨレヨレ感は、所々で某スコセッシ作品中のディカプリオのラリリに匹敵し、70年代的胡散臭さも十分。何がどうしてうまくいったかよくわからんという味わいがジャンル的に正しく、子役が最高に可愛いが、ジョン・グッドマン化してなおクロウが三枚目に徹し切れず、やや歯切れが悪い。主演二人のダメ男が子役にどつき回される感じがより徹底してれば★4だった。jollyjoker, けにろん[投票(2)]
★4セトウツミ(2016/日)臆病な二人、「流れ」と「沈殿」の映画。オモロいというよりも切ない、ほとんど恋愛映画。他愛ないような見た目と裏腹に引き締まった会話劇の機微と相まって、交わされ、外される視線の演出がとてもスリリングだが、ここまで切なくする必要があったのかとも思う。 [review]tredair, カルヤ, ぽんしゅう, けにろんほか5 名[投票(5)]
★5ファーゴ(1996/米)例えば、本来ならタトゥーロを配する場所にストーメアを置くこと。そして、究極的な悲哀の固まり=メイシーを軸に据えて笑いを拒むドン引き感。ブシェミを巡る描写も針が振り切れている。雪の白に血の赤がにじみ、暴力と非日常の世界への侵食を示唆する。「滑稽さ」も凍り付く寒さに、マクドーマンドは頑なに「日常的」であることによって対峙する。『ノーカントリー』の時代にもう一度思い出すべき作品。 [review]けにろん, jollyjoker, 3819695, ぽんしゅう[投票(4)]
★4スペース カウボーイ(2000/米)映画にとって、「本当らしいことは少しも重要ではない」ということを教えてくれる(けしからぬ宇宙空間の音の扱い。だがそれがいい)。もちろん別の映画の使命があることも承知だが、これは純粋に愉しい映画。死に伍するにあたりユーモアを持ち出す映画に弱い私は、晴れやかな表情で憎まれ口を叩き合うクソジジイどもに憧憬を禁じ得ない。信頼の裏返しであり、年輪の証であり、悟りである。 [review]3819695, pori, jollyjoker, ぽんしゅうほか6 名[投票(6)]
★5百円の恋(2014/日)終盤の安藤サクラに「がんばれと応援したくなった」などと軽はずみに言うと、無言+三白眼の左フックで沈められそうだ。外部の視線と価値を求めず、内なる光のみで輝いている。こういう人が強くて美しいのだと思う。私は私の在り方で、このように在りたい。憧れる。 [review]jollyjoker, ナム太郎, ぽんしゅう, けにろんほか5 名[投票(5)]
★4ムーンライズ・キングダム(2012/米)真・『小さな恋のメロディ』。偏執的に端正な画面と対比して、子どもの「純粋さ」を軸に、予測不可能な「不穏」が漲っている。この不穏が世界を瓦解させ、やはり「不穏」により再構築される。納得だし「純粋=不穏」の表現は刺激的だが、知った話とも思うし、この監督さんにはもっとキャラに肩入れした、しょっぱくもほろほろ温かい情緒を求めたい。ちょっと巧すぎる。 [review]ゑぎ, 週一本, けにろん, ぽんしゅう[投票(4)]
★5ライフ・アクアティック(2004/米)ウェス・アンダーソンの最も「個人的」な作品であり、それ故に2011年時点での最高傑作と評価していいだろう。「疑われた男」。血走った眼のズィスー(マーレイ)の拳銃が執念を貫くために火を吹く時、その顔がいくらトボけていようともその姿に監督が己を重ねていたとしても驚かない。そして、私はこの「照れまくる」男アンダーソンの「暴発」を最大限に支持する。「赤帽」のいかがわしさはかくして打ち砕かれる。 [review]ゑぎ, 3819695[投票(2)]
★5ツィゴイネルワイゼン(1980/日)女を軸に「右往左往」する男達。右へ左へ、奥へ手前へ。彷徨のうちにどっちを向いているのか分からなくなる。迷子にならずに腰を落ち着けたいなら、死ぬしかない。女を支配しているつもりが、支配され、逃避し続ける原田と、彼岸と此岸の境界で爪先立ちし、此岸に必死にしがみつく藤田。哀しく、恐ろしく、可笑しいエロスとタナトスの戯画。「肉の極みは骨ですよ」 [review]ぽんしゅう, 寒山拾得, けにろん[投票(3)]
★5エド・ウッド(1994/米)罵声、憐憫や侮辱の視線を浴び続けてもなお、デップの貼り付けたような笑顔は動かない。真の厚顔なのか、実存の哀しみを押し殺しているのかグレーなところが笑わせ、また泣かせるところでもある。いや、むしろ全然笑えないか。実際にこうはなりたくないが、それも悲しい気がして、最終的には「うらやましい」という気持ちにヤラれて涙腺が決壊する。圧倒的な「全員集合」。 [review]週一本, おーい粗茶, 3819695, 山ちゃんほか5 名[投票(5)]
★5犬ヶ島(2018/米)子どもや被虐者による世界の再構築を偏執的美術とアクションで物語るスタイルを自己トレースしつつも、オフビートに見せかけた裏の熱が最高値だ。それは劇伴や涙の圧倒的な質感でいや増し、棄てられた者の逆襲に寄せる情感は全盛期のティム・バートンを遂に凌ぐ。「出陣×出産」のシークエンス以降、涙が止まらなくなってしまった。久々の臨界突破。ゑぎ, ぽんしゅう, けにろん[投票(3)]