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[コメント] イット・フォローズ(2014/米)

子どもの頃、廊下の隅や電灯の付いていない部屋、鏡の奥が怖かった。多くの子どもが感じるだろうこの漠然とした、まだ何とも説明出来ないが、そこに在ることだけはわかる、死や闇に対する原初的で潜在的な恐怖。ナニとも説明されない「アレ」の象徴性の器を介して、これが呼び覚まされた。笑って観るつもりだったのに思いのほか怖くて狼狽した。トイレ怖くて行けない、、、
DSCH

**ネタバレ注意**
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360°のカメラは、死による包囲、偏在を象徴しており、サスペンス感醸成だけでなく論旨に適っていて怖い。これを白昼堂々やるのもよい。死は、手を替え品を替え、いつでも、どこからでも近づいてくる。(おばあちゃん怖い。ダチの後ろから一緒に部屋に入ってくる大男、あのヌルッとしたリズムが怖い怖い!)。

謎、というか違和感やズレがかなり仕込まれているが、ほとんど感覚値だけれど、この監督が仕込むズレは小手先ではなく、天性の美意識によるもののような気がする。照明、音楽、カメラ、音響、あらゆる「ヘン」の統制がメチャ素晴らしい。プールに広がる血のリズム。海岸の、明るいのに不安にさせる陽光。「美意識」がない者には到底作れないシーン。切に伸びて欲しい監督。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)おーい粗茶[*] 袋のうさぎ

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