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[コメント] 極道大戦争(2015/日)

「ヤクザって最強だよな。(興行的に)勝つとか負けるって次元で勝負してねぇからな。魂で戦ってんだよ」「ヤクザ・バンパイア」三池は商業映画を撮り続け、カタギ(観客) の血(金)を吸い、遂に一億総ヤクザという理想郷を現出させた。しかしカタギ(資金源)不在の世界に持続性はないので「また、吸いに行きます(商業映画撮ります)」とも宣言。これは三池崇史による『風立ちぬ』である。生きねば(撮らねば)。
DSCH

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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普通に観客を喜ばせることに飽きた(というより普通に喜ぶ観客に飽きた)エンターテイナーが活動後期に陥りやすい排他症状に見えるが、往々にしてシラケと冷めが入るのに対し、ここは理想郷なので、温度は高く、全く手を抜いていない。内向きで観客との対話を断ち切っているのは確かであり、受け手である我々は血を吸われてきた立場なので、「お前らは金ヅル」的な告白をされたら怒って席を立って然るべきである。映画内からカタギがいなくなるのに合わせて、劇場でも観客が消えていったことだろう。ちょっと面白い構成である。分かってて観るなら相当面白い。下手な対話などよせばいいと思う。(三池さんの場合、はっきり告白しなくても分かるけれども)。

まったく全編爆笑ものの熱量で、ガトリング砲の乱射で倒れるカエルと商店街のゲートを捉えるカットなど、惚れ惚れする。市原がいちいち素晴らしく、でんでん渡辺哲などのおっさん連がノリノリなのも嬉しい。

「ヤクザ・バンパイアの道を征け!」「カタギの血を吸いまくれ!」御用監督としての自らへの激励と決意の表明であろう。これからも題材を選ばず節操のないフィルモグラフィーが積み上げられるであろうことを考えると、嬉しい気がする。

(評価:★4)

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