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[コメント] 人生に乾杯!(2007/ハンガリー)

へっぽこ警察ブラボー。君たちは優しい。そして「俺たちにも明日はある」。※ラストについてコメント追記
DSCH

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







オーケストラ!』1といい本作といい、東欧的トラウマの克服・再生劇には近年〔2011年現在〕傑作が多いようだ。ダサイ邦題まで共通している(笑)

英雄譚→老醜への落下運動の皮肉から「回春」映画へのシフトの鮮やかさ。

俺たちに明日はない』をなぞりながら「俺たちにも明日はある」と語り「破滅の美学」を相対化する粋な計らいと、王道ながら終盤の「意外と安心して見ていられない筋立て」は脚本のうまさに依拠する。『俺たちに明日はない』が嫌いな私には痛快きわまりない。

また、あざとくならずに裏をかく巧さは特筆。うんざりしかけた頃に伏線を全て回収する手際、アイテム、高齢者・共産党ギャグ、小ネタの温度も秀逸。バレバレの公用車で強盗、っていいツカミじゃないですか。チャイカ、って単語が出る度に笑えます。

「海を見る」シーンを描かないことで「継続〔元気に生きる〕」を提示するのも粋だよねえ。死ぬ気なんて端からないんだと。拍手ポイントです。

最後にチャイカを大破させて終わるのもいい。いろいろ象徴的ですよね。

全てにおいて爽快。やっぱり破滅するくらいなら楽しく暴走して生きようよ。寿命も延びるだろうしさ。

〔原題は「終わり」の意。「〜を超えて」という意味もある模様。「これでおしまい」くらいの意味かな。副題は「コップの中の最後の一滴」。原題からしてネタであり、気持ちよく観る者を裏をかいている。ぬるさを無意味に助長する邦題のいい加減さが腹立たしい!〕

(評価:★4)

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