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DSCHさんのコメント: 投票数順

★5機動警察パトレイバー2 the Movie(1993/日)「まどろみ」を越え、柘植の「テスト」を受けて立つ特車二課の闘い。文字通り理論ずくの「青」(蒼白=虚無=「睡魔」)から地下迷宮の戦闘シークエンスの「赤」に至る色調変化に固唾をのむ。そりゃもう素晴らしいです。 [review][投票(3)]
★5バッド・ルーテナント(2009/米)奇天烈極まりないケイジに対し、ある者は怪訝そうに曰く「何だお前?」。またある者は苦笑まじりに「面白え奴だな」。全くもって同感です。イグアナがチロチロと舌を出す感じで。終始そんな感じで。イタくて愉快な「人間失格」。 [review][投票(3)]
★4ミックマック(2009/仏)スクラップ製の悪戯で暴力をおちょくり倒すという心意気。ユーモアは世界を救う。「暴力はユーモアで軽く凌駕できる、むしろすべきだ、え?何かおかしい?」とでも言わんばかりの素朴な楽観的哲学を浅慮と見るか否かは自由。私はこの愛しき浅慮を肯定する。また、戦争被害を一言で「流れ弾」と示唆する導入が結構鋭い。「ジュネ主義的」なコミカル演出・撮影もクリーンヒット。世界観と矛盾しない。 [review][投票(3)]
★4竜馬暗殺(1974/日)無血革命の竜馬。武力倒幕の中岡。何者にもなれない殺人者右太。違いはどうあれ、彼らは変装し、隠れ続ける。「ええじゃないか」の嘲りに巻かれ、どう頑張っても足掻いても彼らは社会的に透明人間として在ることしかできない。暖簾に腕押しの青春。しかも暖簾の先は血の海なのだ。「河原の化粧三人組」。行儀良く並んで座る背中のわびしさと居心地の悪さ。この滑稽と不条理に尽きる。哀切かつ凄絶なブラックコメディ。 [review][投票(3)]
★4リンダ リンダ リンダ(2005/日)「意味なんてないよ」。さりとて「無為の日々」ではない。でも「青春」が共同幻想だということも知っていて、その暗黙の了解が最強に生きる「学園祭」という場で共闘を無理矢理成立させるヒネくれぶり。それでも即席高校生ガールズバンドのブルーハーツで突破されたいと思ったのは何より監督本人だろう。本当はこんな言説で凝り固まった頭を「うるせえよ!この能書ネクラ野郎!」とひっぱたいて欲しいんだと思う。 [review][投票(3)]
★5バリー・リンドン(1975/米)流石ですね先生。本当に意地悪。意地悪だなあ。珍しくちょっと優しいけど。ナイス。 [review][投票(3)]
★1スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス(1999/米)今更のようですが叩きます。20世紀末に生まれた「映画の不幸」の集大成。多分どなたかのレビューと被っていると思いますが、備忘録的に。ファン厳禁。※ 私はEP3とEP5(EP4は「心情的にはOK」)だけ好きという外道です・・・ってそれは普通の感覚なのかな? [review][投票(3)]
★5母なる証明(2009/韓国)ポン・ジュノはブレない。信念(母性)を嘲笑う息子(運命)。「笑い」について。『殺人の追憶』、『グエムル』を経て続く無常的運命論第3章。(左記二作とレビュー内容が一部重複し、重大なネタバレを含みます) [review][投票(3)]
★3マーズ・アタック!(1996/米)異星人モノは「コミュニケーション」が成立するか没状態で破綻するかの匙加減が肝。この「ビミョーにコミュニケーションが取れる」という匙加減がビミョーに絶妙に決まり、仕草と意味合いのギャップに黒い笑いを見いだす筒井康隆的センスにフーセン火星人のビジュアルが完璧マッチ。オチも「コミュニケーション」をキーとして観れば悪意たっぷりで満足。しかしアクションとシーンの繋ぎが悪く、ネタ博覧会に終始したのが痛すぎる。[投票(3)]
★3スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師(2007/米)「肉」「処刑台」の接写、過剰に丹念な残虐・暗黒のロンドン描写等「イメージの強要」により観る者の想像は阻害され、ステージ上で細部を補完しつつの筒井的・社会風刺的なブラックコメディとしての感興は「強要されるグロ」に霞んで消える。残るのは血の酩酊、シェークスピア的因果応報、罪と罰の暗黒のみ。映画的に丹念であればこそ縮こまる世界がある。イメージの伸びしろを残すことは時に大切なのだ。 [review][投票(3)]
★2サマーウォーズ(2009/日)仮想世界での敗北がガチなアイデンティティ喪失につながるあのシーン、携帯端末に一族郎党こぞって食らいつく「つながり」に、デジタル世代の病を見て寒気が。仮想世界でしか血を流せない仮面達が手触り感満々の日本家屋をジャックするグロテスク。これが批判精神不在のガチ活劇として撮られたことを本気で憂う。ただし各所の「くすぐり」は依然としてハイレベル。がんばれ次作。[投票(3)]
★4人生に乾杯!(2007/ハンガリー)へっぽこ警察ブラボー。君たちは優しい。そして「俺たちにも明日はある」。※ラストについてコメント追記 [review][投票(3)]
★4タンポポ(1985/日)食べるシーンも食を追求するシーンも悉くセックスと同義。陰惨になりやすいテーマを明るく切り取る真性エロ礼賛映画。この頃の邦画の賑やかないかがわしさは深作伊丹亡きあと、やはりメジャーな舞台では喪われたのだろうか。あらゆる郷愁を誘うモニュメント的な傑作。 [review][投票(3)]
★3バットマン(1989/米)性悪説の証明と拡散・普遍化に傾注し「遺憾ながら」現代的共感を得た『ダークナイト』の「誰でもない狂賢人」ジョーカーとは違い、こちらは狂気に堕ちる一人の男の悲哀に寄せるバートンの「異人への慈愛」が先行したジョーカー造形で、また違う味わいを楽しめる。ただし・・・ [review][投票(3)]
★5トカレフ(1994/日)人の営みにまるで興味がないように天を目指して成長する街。反比例するように深く男を蝕む社会への苛立ちとあてどない怒り。団地という閉塞的空間で醸成される現代的リアリティが生み出すラストのアクションの圧倒的緊張感。 [review][投票(3)]
★5イリュージョニスト(2010/英=仏)失われる時代へのレクイエム。 [review][投票(3)]
★4スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐(2005/米)「ファンタジーは殺戮の臭気と色彩に汚された。」汚された・・・? [review][投票(3)]
★3デューン 砂の惑星PART2(2024/米)じっくりと豊かに流れる「時間」の構築、ヴィルヌーヴの長所が息を潜めてしまっている。セカセカと筋の消化に追われるヴィルヌーヴなんて見たくない。珍しく撮影も悪く、不用意な人物のアップだらけで、巨大なはずの世界がえらく狭い場所に感じる。ツギハギのアクションにジマーの轟音を被せる反復も無造作で、ノーランがスベった時と同じ失望があった。前作の方が遥かに格上。 [review][投票(2)]
★4ミークス・カットオフ(2010/米)アギーレ』嫡流の現代的・神話的成果。一本道の大河に流されるのではなく、先導者と一行はあくまで荒涼とした大地を自分の足で歩き、迷い、深淵(先住民)と対峙する。そして深淵がアメリカを見返す。「フロンティア」は未だにあるのか?ミシェルはアメリカの「何」に落とし前をつけるのか?迷えるアメリカの「現在地」。倒木に刻むLOSTの四文字の静かな戦慄。無駄カットなしの緊張感。[投票(2)]
★4アンブレイカブル(2000/米)プリンスみたいな扮装と変な髪型で説教し、アメコミ店で頬杖ついて車椅子上で放心するサミュエルさんの画だけで彼のファンとして★4確定なのだが、例え腰砕けの馬鹿話としても捨ておけない。物事には裏表、対極があり、英雄は敵がいてこそ輝く(アメリカ的病理)。出会いは同時に決別の合図となる。そして、妄信、狂信、誤信、その形態がどうあれ、信じることの「熱」が人を動かす。本質に迫る意志があり、切々と哀しい。 [review][投票(2)]