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[コメント] マイ・ブラザー(2009/米)

いまちょうど「戦争における人殺しの心理学」という本を読んでいて、それはそれで非常に興味深いのだが…ところで、この映画は結局何が言いたかったんだ?
田邉 晴彦

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







とても丁寧に作られている。スタッフ、キャストともに誰も手を抜いていないと感じる仕上がり。でもね、物足りねんだ、これが。

冒頭、ジェイク・ギレンホールとトビー・マグワイアがハグしてるショットで、原題「BROTHERS」がタイトルバック。これをみて僕は「なるほどなるほど。これは“戦争”という非日常的な環境の中で人間がどのように影響を受けるかという『ディアハンター』『7月4日に生まれて』的なテーマを援用しながら、“兄弟”という普遍的な関係性の中に“喪失と再生”を描きこもうという魂胆であろう」と思って最後まで観ていた。

な・の・に…オチは嫁さんへのぶっちゃけトークかい(笑)!トビーよ、なぜ最後にナタリー・ポートマンにその事実を告白する?しかも半ば脅されながら…『スパイダーマン』ではキルスティン・ダンストに最後まで自分の正体を打ち明けずに頑張ってたお前が!そんな脅迫に屈するなんて…

違うだろ!ここは当然、弟のジェイク・ギレンホールに告白すべきでしょ?親にも嫁にもましてや子供たちにも明かせない秘密を、出来そこないの弟にだけそっと打ち明ける。それまでは迷惑かけっぱなしだった弟が、今度は兄の精神的な支柱となり、二人は秘密を共有したまま、それでも強く生きていく、というオチの方がいいんでない?

最後に二人がハグするショットでエンディングにすれば、冒頭のショットと円環構造にもなって感動的だったのに。残念だよ、シェリダン。

あとさ、トビーがフルスイングでぶち殺した二等兵て、彼の親友だったんだね。それ、先に言ってよ。そうすれば、トビーのあの行動が一層悲壮感増すじゃん。アフガンにいくまえに例えば訓練中とかに二人の義兄弟的な繋がりをもっと描いておけば、「義兄弟殺し」と本当の兄弟との絆、みたいなテーマも取り込めてよかったのに。

色々口惜しい作品でした。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)煽尼采

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