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[コメント] フェイス/オフ(1997/米)

限りなく理想形に近い娯楽作
ExproZombiCreator

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







爽快感を最重要視した娯楽作品といえば、映画館で観なければ魅力が半減してしまう作品と、TVで鑑賞しても十分楽しめる作品に分かれると思います。どちらが優れたタイプかというのは比べようがありませんが、後者のタイプの傑作として『ターミネーター2』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がよく挙げられます。しかし私のごく個人的な意見としては、今作を入れて近年のTV鑑賞三大娯楽作としたいです。

脚本が本当に素晴らしい。ドラマとサスペンスの両立が上手すぎます。私の持論としましては、ただ物をぶっ壊すだけでは真に莫大な爽快感は得られず、単純な娯楽作であっても、ドラマは軽視すべきものではないと考えます。今作では主人公の日常の行いに起因する「身から出た錆」を、ドラマ、サスペンスの両方に活用しているあたりが特に目を惹かれました。

それに「映画のご都合主義はどの程度まで許容されるか」を本当によく理解していると思います。鏡を使った演出などは実に都合の良いシチュエーションですが、あれは絶対にやるべきでしょう。迫力の音響により、気分が高揚しているからこそ気にならないといえる、際どいテクニックが満載。まさに映画的傑作ストーリー。

テーマの展開も素晴らしいです。最初は「家庭を顧みない父親に喝!」といったありきたりのものかと思っていました。しかしラストを見ると、「マイホームパパ宣言」といったお約束の台詞が無い。どういうことかと頭を悩ませると、どうやらニコラス・ケイジ演じる悪役の設定がポイントのようです。もともと主人公サイドの人物造形が綿密なのに比べ、ケイジがあまりにも「悪過ぎる」ということで、違和感を感じていました。ケイジは主人公とは正反対の性格の悪例であり、それに妻や娘が騙されることで……という趣向だったのですね。私は映画が終わって暫くするまで気づきませんでした。

2010/10/24鑑賞

(評価:★4)

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