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[コメント] インデペンデンス・デイ(1996/米)

真剣に言って、傑作なのかもしれない
ExproZombiCreator

特別思い入れのある作品でもなく一度しか観ていないのですが、製作者にとって気の毒な評価と感じたためコメント致します。

はっきり申し上げまして今作のストーリーのうち99%は面白いと感じなかったのですが、クライマックスにおける一気呵成という表現に相応しい展開は私の観た娯楽作品史上3本の指に入る力強さを感じました。あのクライマックスは物語の粗だとかを全て帳消しにする威力を具えたものでして、今作を「欲しがりません勝つまでは映画」であり徹底した「アンチ・ギブミーチョコレート映画」にせしめた珠玉の見せ場でありましょう。まさに一切のつまみ食いを許さない脚本といえます。これに持てる力を注ぎ込んだ創り手の、プロットに対する信頼感は絶大であり目標に向かって全力投球する姿には自然と感動を覚えるものです。

思想面? 私にとってアメリカなど好きな国であるはずがありません。思想を持ち出すならば『グレムリン』や『猿の惑星』といった作品には負のエネルギーが込められており、今作を観ても全く沸き起こらない「憎悪」という感情を覚えますが、私はそれらの作品を評価します。なぜなら面白いからです。

開き直った娯楽作品を揶揄する「遊園地のような作品」といった表現があります。確かにインディー・ジョーンズのような作品に近い喜びを覚えるアトラクションは遊園地に存在するかもしれません。 しかし今作の余韻を遊園地の乗り物で味わうことが出来るのでしょうか? 言うまでも無く不可能です。90分以上もの時間を上昇にかけ、WTC以上の高さから急降下するような絶叫マシーンなどこの世に存在しないからです。私が極めて高い評価をつけた作品群、具体的にいえば『レスラー』『レオン』『ランブルフィッシュ』など……こういった作品の良さとは、小説でも味わえる類の感動であることを否定しません。私のオールタイム・ベストに近い『ゾンビ』ですらそうかもしれません。しかし今作はそうはいきません。絶対に映画でなければならないのです。私的好みも含めた総合的な評価とは別にして、私が作品鑑賞後、映画を観ていて良かったなと感じた作品のベスト3は『アバター』『ジュラシックパーク』『インデペンデンス・デイ』の三作です。この三作のうちどれ一つとしてDVDを所持しておらず、一作をのぞいて映画館でも鑑賞していませんし、鑑賞した時の年齢は全て思春期から外れています。よって特別な感情は全く無いことをお約束します。純粋に映画的傑作だと思うのです。

「批評家は一流が書いたハードボイルド作品に対し、紙面を1〜2ページ割くことすらためらうにもかかわらず、植民地における綿花栽培を題材とした作品には、たとえそれが三流作家によるものでも10ページ以上の特集をして絶賛します」――<レイモンド・チャンドラー語る>より――

(評価:★4)

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