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[コメント] 東京物語(1953/日)

この懐かしさは、あのときのもの
ExproZombiCreator

新年に親戚一同で集まった、あの記憶。

夕食が済んだ後、ビールを持ったおじさんたちの野球中継に、テレビが占拠されている。

お母さんはおばあちゃんと台所のあたりで立ち話をしている。

お姉ちゃんはいとこの女の子と別の部屋にいっていて、僕が入るとすぐに追い出されてしまった。

ぼくが暖房の前でもそもそしていると、応援団の出す太鼓のリズムや、おじさんたちの笑い声が混ざりあい、それを乗せた暖房のぬくもりがぼくを夢の世界へといざなった。

……私が初めてこの手の文章を書きたくなるほど、終始アルファ波の出ている作品。中途半端に娯楽要素のある古典よりも、これくらいゆったりした映画のほうが今日では存在意義があるのかもしれない。

物語の進展にかかわりのない儀礼的な台詞が頻出するが、中盤あたりになると、目覚まし時計のように軍艦マーチが鳴る。「戦争はもうこりごり」という具体的な台詞が出るこの場面を境にして物語に動きが出てくる。この軍艦マーチがこのタイミングで鳴っていなかったら、印象は全く変わっていた。

2011/01鑑賞

(評価:★5)

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