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[コメント] ビヨンド(1980/伊)

暗黒創世記
ExproZombiCreator

地球の創造ならぬ破滅の序曲を描いた作品です。

低予算映画にしてはスケールの大きすぎる題材ですが、様々な仄めかしやグロシーン、荘厳な音楽等を活用し、それらしい雰囲気を創るのに成功しています。

フルチ曰く「僅かな予算で撮られている」というイタリア映画ですが、この作品も例外ではないでしょう。現在の価値にして億(円)かかっているのかも怪しい作品です。

賛否両論ばっさりと分かれる作品ですが、私は素晴らしいと思います。これはフルチの秀作ミステリー『マッキラー』を鑑賞した後でも変わらない意見です。

今作を含む後期フルチ作品は、ストーリーが難解――より適切には「不可解」であることを度々指摘されます。しかし不可解な怪奇作品といえば『ポー』や『ラブクラフト』といった大御所の得意分野でありまして、それだけを理由に駄作と切り捨てる事は勿論出来ません。フルチの作品は両作家の影響を感じます。そして90分という短い尺にしてありますので、ダレさせないための配慮もあります。何よりフルチの演出は他のイタリアB級映画監督とは一線を画しています。彼は有能な監督であるのです。

自由の女神の残骸を置くことで、世界の終末的な雰囲気を出す事は出来ますが、こういったやり方だってあるのです。このような低予算映画にしてこれだけの終末観を描ける監督は貴重ではないでしょうか。彼の美学、宗教観といったものの集大成が生んだ芸術品。

(評価:★4)

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