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[コメント] 卍(1964/日)

谷崎文学を読み違えたBADムービー
junojuna

 監督・増村保造、脚本・新藤兼人の読み違い文芸映画である。それによって役者陣営の空虚な様がことさらに強調されてしまった悲惨な作品。本作の企画の正念場は若尾文子を起用したセンセーショナルな一発と谷崎文学の同性愛をモチーフとしたセンセーショナルなセクシュアリティという側面であったに違いはなさそうだが、耽美派と言われる谷崎潤一郎が提起するおよそ観念的なものとは程遠い人間のセクシュアリティの闇の部分をその字義通りになぞっただけの雑なつくりがなんとも情けない。谷崎文学に触れるのであれば批評的にとまでは言わないにしてもせめて煩悶的に映画化してほしかった。とかくこの監督はセクシュアリティをテーマに映画を撮りたがるがファム・ファタルの描き方が美味くない。こういうのを下手の横好きという。

(評価:★2)

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