コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] のらくら(1921/米)

ドラマとギャグのヴォリュームがアンバランスなSO-SO作品
junojuna

 チャップリンのドラマツルギーはギャグのアイデアからドラマを構想するというものであったようだが、本作の施しを見るにつけて昨今のCGワーク全開の技術集約的な映画の先例を見るかのようであった。映画の軸はチャップリンのギャグという技術に集約されていてドラマの構成・プロット配分は、そのギャグの按配に周到な枠組みとなることで成立を企図されている。そうした作劇も映画の一形態であることは論を挟む余地はないが、その技術のインパクトがいかほどのものであるかによって作品の好悪を呼ぶといったある種の限界を孕んでいることは否めない。しかしながら、ドラマ後半に配された転回プロットには、チャップリンの背中が物語る哀愁の刻印も確かに見受けられ、ラストシーンに至っては諧謔精神の発露も以降の作品群に繋がるチャップリン印のユーモアもあり、着実な展開フィルモグラフィであったといえる。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。