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[コメント] 恋するベーカリー(2009/米)

役者の力によるキャラクター造形への肉薄を堪能するSO-SOムービー
junojuna

 『ホリデイ』のナンシー・メイヤーズには、そのロマコメ型ドラマの強引な帰結に、力のある女優2人(キャメロン・ディアスケイト・ウィンスレット)を召喚しながらも、魅力的な映画力を喚起し得えず残念という感慨をもったが、本作は、そうしたドラマの狭量な部分は残してはいるが、とりわけメリル・ストリープ、アレック・ボールドウィン、スティーブ・マーティンといった、演技力もさることながら、映画を知っている人たちに助けられて成功した映画であるといえる。中盤までで、キャラクターが仕上がり、その後ドラマがどう転がるかに注目が生まれたが、いかんせん判然としないものわかりのいい感じのラストを「大人の映画」と括るのは、やはり狭量であった。日常の葛藤をコメディ仕立てで語るところまではいいが、ロマンティックな路線を狙うのであれば、いますこしのファンタジーを忍ばせる勇気があってもいいのではないか。現実的な生活感情を思わせてシニカルな作風が目立つメイヤーズだが、もう一回り豊かなものを期待したい。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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