クリエイターとして恥ずべき既得権益運用ムービーの最たるものである。そういわれても仕方がない脚本の大雑把にすぎること。乗って苦悩して、またしても乗って苦悩して、という視野の狭いループワークの起伏のなさに工夫のなさは呆れて何をも言えぬ心地。はじめは、このダイジェスト的矢継ぎ早な展開が、その高度なヴィジュアルメイキングによって詩的な情緒さえ醸し出していたとも思えたのだが、全編にわたって評価して見れば、単なる元素材の印象抽出を再構成したに過ぎない、このあまりにも怠慢な施しは罪悪であろう。映画というコンテンツをひとつのビジネスと考えた時、こうした素材の強さをもったソフトを、話題性というラッピングの技術をもってして運用することは、効率的で巧みなプロデュースであったかもしれない。その意味では、決して失敗ではないと思うが、しかし、これまで築き上げてきたエヴァブランドを、表層的な部分で広く投擲してしまった点において、その神秘性は大きく失われてしまったのではないだろうか？三部作というプランにおいて、ブランドのクォリティを減少配分してしまっては、その御郷が疑わしい。起死回生は「破」にかかっている。