[コメント] キートンの探偵学入門(1924/米)
トリュフォーのドワネルシークェンスを思い起こさせるオフビートが粋なSO-SO作品
淀川氏曰くの「キートンはエスプリが利いていてフランスタッチ」というところのポーズが乙な映画的喜劇作品である。これにリリカルな芯が立っていればひじょうに豊かな映画時間が生まれたことだろう。なるほどゴダールによる『勝手にしやがれ』のベルモンドや、ウッディ・アレン脚本・主演の『ボギー!俺も男だ』に通ずるマイナーな主人公が寄せるヒロイックな存在感に対するシンパシーの基調など、映画の先駆的存在感は今もって十分なアトモスフィアである。例えば探偵を気取って、付けヒゲで成りきっている主人公キートンなどは、前述の何物かであろうとしながら雲泥として隔てられているキューティーなキャラクターを決定づけてことさら映画的である。ゆえにシネフィル的作家にオマージュを捧げられるオリジンとしての佇まいは映画史に脈打つ源流として貴重なのだ。作品としては今一歩な感ではあるが、アクションについて語られがちなキートンの観察力によるスタティックな魅力が存分に際立った作品である。
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