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赤い戦車さんのお気に入りコメント(10/49)

曽根崎心中(1978/日)★4 お初(梶芽衣子)は徳兵衛(宇崎竜童)以外の人間とほとんど目を合わせようとしない。目を合わせたとしても、それは必ず徳兵衛に関する会話が成される時だ。それ以外の場面では瞬きすらせずただ何もない空間を見つめている。このひたすら徳兵衛を求めてさまよう目線が梶芽衣子のキャラクターを特異なものにしている。 (Sigenoriyuki)[投票(5)]
沓掛時次郎 遊侠一匹(1966/日)★4 一宿一飯の恩義の為に捨て駒のように扱われる“渡世人の虚しさ”を、テーマの一つとして明確に盛り込んだのが成功の秘訣だろう。 東映時代劇の二大アイドルだった錦之助と千代之介の“殺し合い”が、時代劇の終焉と仁侠映画の台頭を鮮明にする。 [review] (AONI)[投票(4)]
沓掛時次郎 遊侠一匹(1966/日)★5 細かい部分の作りこみ方が半端じゃない出来。これぞ活劇と言わんばかりに飛び散る血飛沫。爽快感の後に残る一抹の後悔。役者の中の役者中村錦之助の芝居も絶品。ただ→ [review] (マッツァ)[投票(2)]
激動の昭和史 沖縄決戦(1971/日)★3 岡本喜八新藤兼人の情報処理能力の高さ。各階級・部隊の軍人から老若男女の民間人まで膨大な量の人物の運命を、実際の兵士の遺書・川柳や米軍戦史の引用まで駆使して語り倒す。しかし演出の力の入れ具合から云えば、これはあくまでもさらっと撮り上げられた作品だ。面白さの点では今ひとつ。 [review] (3819695)[投票(3)]
告白的女優論(1971/日)★5 観客に「覗き」感を与えるショットの数々。仰角や俯瞰の多用。余白を大きくとり、人物を画面の隅に配置。人物の姿を、別の被写体で遮る等。加えて、幾何学的な美術や、恐らく意図的に誇張された演技の、隅々まで計算された構成美。鏡と嫉妬と嘘の乱反射。 [review] (煽尼采)[投票(2)]
タバコ・ロード(1941/米)★5 常軌を逸した狂騒コメディ。なのだが、これはフォードの映画なのだから当然ただそれだけのわけはない。コメディの体裁をとっているので一見表立ってはいないが、たとえばここでの「家族の崩壊」は『怒りの葡萄』におけるよりもよほど深刻に捉えられているのではないか。 [review] (3819695)[投票(4)]
タバコ・ロード(1941/米)★5 本作はジョン・フォードのFOX時代の文芸映画の系譜ととらえることもでき、確かに緩やかな文芸映画らしい時間演出を試みられている部分もあるのだが、しかし一方でどんなフォード映画とも似ていない圧倒的な破壊の映画である。いや映画史上で、このような破壊的な自動車の使われ方をした例が他にあるだろうか。 [review] (ゑぎ)[投票(5)]
ヤンヤン 夏の想い出(2000/台湾=日)★4 登場人物の心に去来する繊細な感情をキャメラで誇張せず、背景と人物がユーモラスにその存在を響かせあう運動の一こまとしてすばやく小さく軽く素描する知的洗練。高架線の下でキスを交わす男女の背後で切り替わる信号の色とタイミングで男女の心理を表現するワンカットの魔術。 (ジェリー)[投票(3)]
ヤンヤン 夏の想い出(2000/台湾=日)★5 世界につながる音、空間。普遍的な営みを描きながらも、こんなに「今」に拘って「今」の空気を掬い取ろうとした、監督の心意気だけでも文句ナシに5点つけたくなる。 [review] (くたー)[投票(11)]
めまい(1958/米)★5 やや技術に走りすぎた感はあるし、メロドラマに大きく傾いた物語も好き嫌いが分かれるだろうが、やはりこの見事な画面の連続には逆らえない。とてもとても面白い。そしてこれは「過去」に襲われる男の映画だ。 [review] (3819695)[投票(2)]
めまい(1958/米)★5 渦巻きの反復、緑の反復、「高さ」の反復。更には「反復」それ自体。ラブ・ストーリーとサスペンスの完璧な結合。 [review] (煽尼采)[投票(3)]
家路(2001/仏=ポルトガル)★3 オリヴェイラ監督もヴァランス役のミシェル・ピコリも素敵に老獪。 [review] (なつめ)[投票(1)]
家路(2001/仏=ポルトガル)★4 写っている以上の何かが我々に見えてしまうという希少かつ理想的な映画体験を堪能できる。決して日常的な行動以上のことを行っているわけではない男から、生きる充実感も徒労感もありありと立ちのぼってくる。観客は彼の感情について想像をめぐらす楽しさを感じずにいられない。 [review] (ジェリー)[投票(1)]
家路(2001/仏=ポルトガル)★5 Round&Round. [review] (町田)[投票(1)]
哀しき獣(2010/韓国)★4 延吉(中国)の朝鮮族街と、密入国の窓口となる韓国の場末では、殆ど街の色に違いはない。その近接感に関わらず、濃い「遠くに来ちまった」感。それは後戻りできない物語を高速カット割で煽って運び去るスタイルが的確な上、朝鮮族による、「民族/国家」の近いようで遠い、憎悪と羨望の微妙な距離認識を正確に演出に投影しているからだ。その距離のゼロ化=越境・接近が喰らい合いに至るしかない悲劇。凍えて飢えた画面も◯。 [review] (DSCH)[投票(6)]
ホウ・シャオシェンの レッド・バルーン(2007/仏)★4 自然光の扱いにかけては現在リー・ピンビンの右に出る者はいないと思わせる。ホウ・シャオシェンにしてもアルベール・ラモリスとは才能の桁が違う。もちろん『赤い風船』もすばらしい映画で大好きだが、これはそれとはまるで別次元の傑作だ。奇跡的な「光」の映画。「反射」の映画。 [review] (3819695)[投票(2)]
ホウ・シャオシェンの レッド・バルーン(2007/仏)★4 職業人と母親を不器用すぎるほど懸命にこなすジュリエット・ピノシュの苛立ちぶりが、見ていて何とも愛らしい。どこか明るい日常の喧騒ぶりと、声優としての自由闊達さがいつしか重なり不思議な感動を生む。そんな彼女と一線をかくす、ソンとシモンの日常。 [review] (ぽんしゅう)[投票(2)]
ヴァンダの部屋(2000/ポルトガル=独=スイス=伊)★4 この映画の登場までは、キャメラの設置を待って、キャメラの前に登場人物が立って何か喋ったり動いたりする以上、その登場人物は素人玄人を問わず俳優であることを余儀なくされたはずだ。しかし、この映画は、登場人物が俳優なのか、そうでないのかという問いすら無効にした。 [review] (ジェリー)[投票(1)]
風立ちぬ(2013/日)★5 恋も仕事も限定期間の最も美味しい部分のみを抽出し、人の一切の邪心・悪意は隠蔽される。水彩画のように儚い今際の際の美しいだけの思い出は、それでも黄泉の国と隣接し境界は融解してる。出会いと再会の場に於ける風の突発的な表現は鮮やかというしかない。 (けにろん)[投票(6)]
月と少年(2011/米)★4 併映短篇とは対照的に反-言語の態度が鮮明である。月をチーズで拵えるなど荒唐無稽を極めた『チーズ・ホリデー』ですらロケットを用いねば月面に到達できなかったところを、こちらは「小舟」「錨」「梯子」で成し遂げてみせる。素朴かつラディカルな発想でデザインされた映画世界が出所不詳の郷愁を誘う。 (3819695)[投票(3)]