強風で様々なものが飛来してくる状況は「キートンの蒸気船」のように面白い、と思っていたらショッピングモールでの気圧差を利用した宙づりアクションや、ラストのトラック間での飛び移り等本気で私淑しているのではと思わせる充実度。クライマックスで「マッドマックス」ばりの度肝を抜くカーアクションが展開されるのも悪くない。トラック3台によるカーアクションはちょっと他の映画では観たことがなく、驚く。細かい部分ではコートを着た悪党どもが西部劇っぽい感じだったり、シャッターに空いた銃弾の穴から光が差し込んだり、ラストにちゃんと札束が舞うってのも様々な映画的記憶を刺激してきて良い。

かつて『フラッド』という面白くなりそうでならなかった残念な映画があったのだが、それに不足していた要素がすべて詰め込まれている。