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[コメント] そこのみにて光輝く(2013/日)

本作の会話シーンは多くの場合、話者同士が「座った」ままの状態、或いは「立った」ままの状態で進行するわけで動きが無くつまらない。
赤い戦車

サーク成瀬なら片方を立たせたり座らせたり動線を考えて動かし、適時相手の視線を挿入するなりして、それらを肌理細やかな照明で補強して運動(+視線)を画面内に呼び込むわけだ。それが「演出」(ちなみに近年では西谷弘がこのような演出を巧くこなしている)だと思うのだが、そう考えると本作は役者に頼りすぎていやしないか。近藤龍人の撮影も部分的には美しいが『パーマネント野ばら』の達成には及ばない。

海、浜辺。向き合っては接近する男女(池脇千鶴宅の庭先で正対の切り返しがある)。同一方向に視線を向けるかのように同じ姿勢をとったりもするが、それだけではいかにも弱いし、個人的には図式的すぎるようにも思われる。他にも扉や窓の使い方も不満だし、池脇の働くバーで引っ叩かれ綾野剛が出ていくショットではいかにも「段取りを決めました」という風情で左側のフレームからママさんが出てきたりもする。被写体に肉薄するカメラも必要以上のものに感じられる(あまりに中心的すぎる)。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)まー[*] ゑぎ[*]

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