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[コメント] 人情紙風船(1937/日)

哀しくも愛しい物語。見たあと人生が、そして人間がいとおしくなる一本。
ピカレスク

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







人情紙風船…人情なんてあるようで実は無い…でも気付かない所に存在している、ということでしょうか。

とても悲しい話ですが、微笑ましいシーンもたくさんあります。金魚屋がぶつぶつ言いながら登場するシーン、お通夜でのドンチャン騒ぎ…そして長屋に暮らす人たちの生き生きとした姿、外で無邪気に遊ぶ子供たち。

登場する人たち全員の命がスクリーンの中で光輝いているんです。

そして、ふと覗く青空の美しさ。山中貞雄監督って、映画に命を吹き込むことのできた、稀有な人だったんですね。本当に素晴らしい才能です。

明るいシーンがあるからこそ、これほどまでに人知れず消えてゆく命が悲しいのでしょう。

泣いて泣いて、そのあと人生、そして人間が堪らなくいとおしくなる…そんな作品です。

(評価:★5)

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