[コメント] 十九歳の地図(1979/日)
この閉塞感は…これこそ「青春」なのではないだろうか。
19歳…自立したいと望みつつも、学生として両親の管理の下に置かれ、理想と現実のジレンマに苦しむ時期。社会のなかの自分の位置がまだ決まっておらず、「何者にもなれる」という希望と、「何者にもなれない」かもしれないという絶望感の輪の中でもがき、ただ自分のまわりの気に入らない人間に×をつけることで、辛うじて自己の立ち位置を保とうとする主人公。
形は違えど、この閉塞感は誰にでもあるのではないだろうか。梶井基次郎が、檸檬を美の爆弾に見立てて丸善に置き去り、当時の変わりゆく社会に対して警鐘を鳴らそうとしたように。
誰にでもある一つの「青春」の形がこの作品にはある。
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