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[コメント] アヒルと鴨のコインロッカー(2006/日)

なんでこんなに湿っぽくしてしまうんだ!?しかも話は嘘ばっかりの出鱈目じゃないか…
ishou

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ひとりは日本人のフリをしている外人で、ひとりは動物のために命を落とし、ひとりはエイズで亡くなって、そいつらは全員知り合いで。これはちょっと異常だぞ…。外国人の差別問題を語ってみたり、動物愛護にも触れてみたり、夭折もありーの。御涙頂戴まる出しじゃないか。

それと本屋の息子が捕まっていないのはありえない。仮にも警官二人が居合わせてたわけで。外人うんぬん関係ない。被害者の留守番電話にはバッチリ加害者の声が残ってるし。あれは過失致死ではなくて、明らかな殺人だし1年や2年で出られるものじゃない。それに、仮にも一年以上生活している人間が、会話はできるのにその国の文字をまったく解さないというのはそうとう無理がある。いくら創作の世界だからといって、ここまでリアリティがないとなかなか受け入れがたいものだ。

文句ばかりでなんだが、この映画のもっている可能性は日常性にあった。小柄でなんの才能もない椎名(濱田岳)は、都会でもなくド田舎でもない、日本のどこにでもありそうな街へ越してきて、ただピンク色であることが想像以上に目立ってしまうような場所にたっているアパートで生活を始める。濱田岳の演技も含め、この綿密に作り上げられた“普通さ”にこそ目を見張るものがあった。これがあったからこそ、河崎(瑛太)のせいぜい常人の考えそうな変人でしかないキャラが光った。日常というものをもっと貪欲に推しすすめていけばそれだけで賞賛できたものの、本編はそれを捨て去りあまりにも過剰な出来事を描いてしまったのだ。

たとえば、琴美(関めぐみ)がレイコ(大塚寧々)に対する元彼の無礼な態度に「ごめんなさい」と謝ってみたり、本物の河崎(松田龍平)が死をまえに近づいたり離れたりの揺れる心理。こういう何気ないものをもっと丹念に描けばそれだけでたりるのであって、それ以上なにが必要だというのだろうか。

(評価:★2)

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