[コメント] スパイダーマン:スパイダーバース(2018/米)
キャラクター集結ものなのに、マイルス個人の、しかもチャカチャカした演出テンポに比べてやたらと遅すぎる成長に話を絞ったのは失敗だと思う。逆境に立ち向かわせる話はいいが、何しろ初歩的な凡ミスばかりで他のスパイダーマンの足を引っ張りそれを終盤まで挽回するシーンがないので、あまり好きになれる主人公ではない。
クライマックスでも仲間の小ピンチの段階で真打のマイルス登場では盛り上がらないし、多くのキャラクターが顔見せ以上の活躍をしないままで途中退場して行ってしまうのは勿体無い。別れを惜しむ台詞があるけど、マイルスが足手まといでみんな遠巻きにしてたんだからそんなに交流してなかっただろ。唯一関係の深かったピーター・B・パーカーとのやり取りはよかったけど、それでもちょっと唐突に感じたレベルである。
話の核である、世界を破壊しかねない加速器の被害がアート風オブジェ程度にしか描かれていないのも問題だ。そもそも加速器を止めるキーが最初から存在してるし、形見である大切なそれをマイルスが簡単にブッ壊すし、これまたバックストーリーであっさり直してるし、展開や感情の盛り上げがめちゃくちゃ下手でドラマは相当弱い。どうしたフィル・ロード。
映像も賑やかで楽しいっちゃ楽しいのだが、普段から騒がしい分、かえって見せ場との差別化も図れていないのだ。せわしなさを抑えてあとコンマ何秒か長くしてくれたらもっと爽快感があったのに、という映像も多い。完全にバランスを見失っている。ギャグも全然タメとか間がないから、逆に詰め込まれた分だけ平板になって面白くないんだよなー。
評判のよかったペニー・パーカーちゃんも終始勘違い日本アニメ感が描かれるだけで心を捕まれるような見せ場はなかったな。
表面的な派手さにばかり気を取られ、それらを繋ぐドラマを作り出せていないのが問題だったと思う。要素だけなら魅力的な部分も多いだけに残念。
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