なんだこのラストバトルは。いやラストバトル自体は素晴らしい。しかしなんだこのエピソードの編集は。ゴミか。

話自体もあちこち行って複雑な割には感情が乗り切れずなかなか微妙だが、それはまだいいのだ。ラスボスのマックス・チャンが許せない悪役であることだけは了解できているので、それさえあれば最後の戦いで燃えることは出来る。しかもこの豪華な面子によるアクションだ。お釣りがくるような至福の映像である。

前作『SPL』では、ドニーさんの特殊警棒でブッ殺されるナイフ使いを演じたウー・ジンが、そのときの曲をバックに、敵のナイフ使いを警棒でブッ倒すという粋な遊びもよかった。 ここまできたら流石に期待に胸が高まる、トニー・ジャーと合流して最高にかっこいい悪役のマックス・チャンと戦い始める…あたりまでは。

ここから完全燃焼だぜ！と鼻息荒くアドレナリン全開で画面に食いついていたら、バトルの途中で急に挿入されるおっさんの兄弟げんかと、トニー・ジャーの娘の夜歩き。意味がわからず目が点になる。

いや、まあ、戦いの最中に一、二回こういうシーンを挟むくらいならいいよね、クロスカッティングの演出効果もわかるしウンウン、などと最初はまだ思っていたが、それが何度も何度も繰り返しだらだらと挿入され、アクションが盛り上がるたびに興を削ぐことが目的かのように邪魔してくるのだ。意味がわからなすぎて、二、三度目あたりからキレそうになった。

なにせ、ウー・ジンとトニー・ジャーが集団と戦い始めたらガキの挿話、マックス・チャンがウー・ジンをボコボコにしてはガキの夜歩き、マックス・チャンがトニー・ジャーの必殺技を華麗に回避しては兄弟げんか、圧倒的なマックス・チャンの強さを前に二人が気合を入れなおしたらガキ、マックス・チャンが武器を使い再逆転し始めたら兄弟げんかとガキと兄弟げんかとガキ、とありえない程にアクションを中断してくるのだ。

しかもその挿入のせいで露骨にアクションが削られていて、場面が戻ったらマックス・チャンがいつの間にか上着を脱いでいるありさまだ。

作り手はストーリー上の目的が何かを見失ったのか。クラシック流して気取る前にやることがあるだろうが。 おっさん兄弟がどうなろうと知ったこっちゃないのだ（今は)。ガキが何を祈ろうがどうでもいいのだ（今は）。 今、この瞬間は、香港とタイのアクションスターが手を結び、イケメンカンフー野郎に鉄槌を下している最中なのだ！邪魔すんじゃない！馬鹿にしてんのか！ハアハアハア。

これはマジで映画として致命的なミスですよ。 大体、アクションでストーリーを語れないなら映画を撮る資格なんかないでしょ。クライマックスでこんな細切れのカッティングをしないと話をまとめられないって時点で映画としては大失敗、どんだけストーリー語るのが下手なんだよ。もうそしたらストーリーは諦めろよ。クライマックスをこんな編集にしたら緊張を削ぐのがわからないって、どんだけ演出のセンスがないんだよ。

それもこの三大スターの決戦である。それを差し置いてダラダラ余計な挿話で邪魔をするって、よほどの馬鹿ちんではないかと。なんなら、怒りを通り越してラストバトルの行方すらどうでもよくなっちゃったよ。誰の責任だか知らないけど、辞めちまえよ今すぐに。

こんなに良質なアクションをこんなに酷い編集で見せられた経験は生まれて初めてで、劇場を出た後の帰り道では、ぶり返す怒りと悲しさに眩暈がして、暫くしゃがみ込んでしまった。

まさか格闘アクションの本場で、アクションスターを集結させてこんな映画が作られるとはなあ。

途中までの話などどうでもいい。一生忘れられないクソ映画だ。

ネイポッカーイ！ ハムガーチャン！ガオメイアー！編集しなおして完全版を出してくれー