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[コメント] クワイエット・プレイス(2018/米)

「音を立てれば即命に係わる」危険な環境で、4歳の息子を一番後ろにして縦一列で歩く(弟の面倒を見るのが耳の聞こえない姉の役目で、その姉すら弟を放置してる)という馬鹿な出だしで、もう何もかも諦めた。「状況」が何より大事な映画なのにそこが一番軽んじられている。
アブサン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







スタッフは、化け物対策のモニタールームや警告ライト以上の映画的アイデアを思いつけなかったようで、ピンチの場面がことごとく間抜けな偶然になっている。

音を立てないために毎日裸足で生活してきて床や階段の踏む場所まで決めてるような一家が、なんでペンキで色指定した足場から釘が飛び出てるのを見逃してるんだよ。シュールすぎるだろ。こんな馬鹿たちだけが生き残っている、という設定が不自然すぎる。

そもそも冒頭の場面は、4歳の末っ子と耳の聞こえない姉とさらに具合の悪い子供までつれて、5人家族全員で薬を取りに行くという状況からして無理やり過ぎるのだ。シチュエーションの作りこみこそが大事な映画なのに、そこを真面目に考えてないんだよな。病気の子供本人を長距離歩かせるのがおかしいし、どう考えても親一人で取りに行った方がよかっただろ。

あのオープニングにして新生児の誕生には何か意味があるのかと思えば、赤ん坊は都合がいいタイミングでしか泣き声をあげず、安い小道具の役割しか与えられないという体たらく。姉の耳が聞こえない設定も、手作り補聴器が偶然宇宙人を倒せるアイテムでしたってご都合展開のためとは、矜持もクソもなく見事に安いだけの脚本だ。投げやりかよ。

ラストも製作監督脚本兼主役の親父が(ついに)叫ぶことでヒロイックに活躍したかったのなら、その前の場面で意味もなく何度も大声で叫んでちゃダメだろう。せめて、奥さんの出産・赤ん坊の産声・家族を守るための自己犠牲の断末魔、とテーマを統一するとか気の利いたことをしてくれよ。なんで途中で自殺したキチガイ爺さんとのテンドンにしてるんだよ…

親父が音を立てて引き付けるにしてももっといろんな方法があったと思うけどな。あまりに作りが適当すぎる。こんな映画にいっても仕方ないことだが、少しは『トレマーズ』の知恵と工夫を見習え。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)サイモン64 おーい粗茶[*]

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