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[コメント] 父親たちの星条旗(2006/米)

<死>こそが真実になってしまったものたち。
たかひこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







なんの理由も無く、果敢に戦い、死んでいったものたちの正義に報いるならば、自らも戦い死ぬしかない。<死>が真であり、義であり、圧倒的なリアリティーを持っている。その場にいるものを、根本から、本質的にゆがめてしまう体験、戦争とはそういうものなのだろう。

本土では星条旗の写真をつまみに、ドンチャン騒ぎ。彼らはプロセスをしらないで、平和を享受している。だが彼らを責めることはできない。むしろそれが人間の本来の姿だからだ。自分もかつてはそうだった、戦争を体験する前は。

生きるためにプロセスは忘却される。忘れることができなければ、虚偽を静かに受け入れるしかないのだ。

(以下感想) 「ディアハンター」を思い出す。というか「ディアハンター」はいまいち意味がわからなかったが、この作品を見て考え直すところがあった。それと、星条旗の「写真」は、「映画」と置き換えてみてもおもしろい。戦争の「映画」を撮ること自体が、英雄を作り虚偽を宣伝し紙幣を奪い取ることなのだというアレゴリーだったのかもしれない。いわゆる「戦争映画」の批判こそがしたかったのかも?

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)りかちゅ[*]

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