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[コメント] グリード(1925/米)

圧倒される映像の迫力。暗鬱な雨の風景、一転して照りつける砂漠。どこまでも金に執着することの無意味さと、そこから逃れられない我々の業を突きつけられるような苦しい映画。
サイモン64

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







観客が見るのは俳優の大仰な演技と時折入る字幕のみ。濃密なストーリーが2時間の長尺で語られ、文字通り画面から目が離せない。見る者に非常に緊張を強いる映画である。

今日(こんにち)の映画がどんだけ親切設計なのかと思い至るが、その反対に美麗な映像などなくとも人の心を射ることはできるのだと感じる。(公開当時1920年代ではこれでも相当に美麗な映像だったと思うけどね。)

始まりはささいなことから話は果てしなくエスカレートして、最後は事ここに至って金に執着することの虚しさが突きつけられる。

胸を締め付けるような暗鬱な展開から、最後の一連の場面は照りつける太陽と灼熱の渇きが白黒の粗い映像で見ているこちらまで脱水症状になりそうだ。

昔先輩に連れられていったスナックのお姉さんが「金のことで夫婦喧嘩するほど惨めなことはないから、金ができるまでは結婚したくない」と話していた。当時まだ二十代だった彼女のバックグラウンドにはどんな物語があったのだろうか。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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