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[コメント] トイ・ストーリー3(2010/米)

この名作を前に「百聞は一見にしかず、是非劇場へ」以外にナニを語ることがあるのかとは思うが、語らないことには何も表明できないので、この映画への想いを書き連ねたい。
サイモン64

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭の一大活劇。西部の救出劇は一挙に宇宙規模になり、この大風呂敷の始末どうすんの?と思ってたらそれはアンディの空想だった、と言うことがわかる。そしてそれが「アンディの母がホームビデオで撮影しているアンディの空想」だとわかったとき、私は涙を抑えることが出来なくなっていた。

トイ・ストーリーの1も2もリアルタイムで見ており、ちょうど自分の子供もアンディと同じくらいの年代であるため、ビデオの中のアンディと自分の実体験が混同されてしまったのかも知れない。

1と2は、Andy の元に戻るためのおもちゃ達の冒険が描かれていた。1で登場する少年「シド」、2に登場するおもちゃコレクター「アル」に放置されてひねくれた人形「プロスペクター」など、一応外見的な敵は登場するし、今回もいちごの匂いがする熊のぬいぐるみ「ロッツオ」という敵が登場するが、1, 2 と、おもちゃがもう用済みになって幼い日の記憶の記念程度の意味しか持たなくなった 3では本質的に話の中身が異なにっている。

トイ・ストーリーの一作目からおもちゃ達は知っていた。いつか飽きられて忘れ去られ、捨てられてしまうかも知れないことを。そしてそのおそれが現実になるのがこの三作目だ。

おもちゃ達は別れの運命を知りながら、良き持ち主であった Andy の元へ戻り、そして自ら別れることを選ぶ。その道行きの冒険譚は今更語るまでもなく映画として最高級のできばえであり、そう、もはや「CGを使ったアニメ」などではなく、これは映画なのだ。最高級の。

終盤間際、ウッディやバズ、そしてレックスやハムにスリンキーのことを熱く語るアンディにまた涙。そしてエンドロールにもまたまた涙である。こんなに泣かせてくれた映画は過去に無かった。

ピクサーの映画は、「ウォーリー」の時点で既に映画の高みに到達していたが、それがさらに高いレベルで「トイ・ストーリー3」として実現したことで、もはやウッディやバズは私の中では実在の俳優みたいな位置づけになっている。彼らとの別れは残念でならないが、そう思わせてくれたピクサーの制作陣には心から感謝したいと思う。

本筋以外の話としては、今回のもう一人の主役はバービー人形の男の方、「ケン」だ。彼はまさに、小中高の男子生徒がもっとも忌み嫌う男性アイドル的な性格を与えられており、そのことだけでも笑えるのだが、その性格がまさに核心を突いていて、彼が登場するたびに笑わずにはいられなかった。最後に彼が書いた手紙も女の子みたいな文字ですごくおかしかったのであった。

一つ残念なことは「シド」のその後が見られなかったことか。「1」で引っ越してるから仕方ないけど。

スペイン語モードになったとたんに女好きに変身するバズという設定もすばらしい。エンドロールはスパニッシュギターをバックに「ふたりはともだち」のスペイン語版が歌われるのだが、どこかで聞いた声だなと思ってエンドロールを見ていたら、なんとジプシー・キングスが歌っているのであった。どこまで凝ってるんだ。

エンドロールの Special Thanks の最初には Stevie Jobs の名前があり、その後に続いて宮崎駿と鈴木敏文の名前もクレジットされていて驚いた。劇中トトロのぬいぐるみが登場していたからだろう。

最後に繰り返しになるが、この見事な幕引きには本当に感謝の言葉しかない。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)あちこ[*] chokobo[*] uyo

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