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[コメント] ターミネーター4(2009/米)

3よりはマシだが、貧弱な後付設定に加えて、使命感や必然性が欠如した登場人物に感情移入できず。非力だけど目的に向かって奮闘する人間達が描かれていない映画「ターミネーター」に、もはや魅力はない。
サイモン64

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







2009.6.7 新居浜TOHOプレックスの先行上映で鑑賞。相変わらず劇場はガラガラで、新居浜市民は映画に関心が低いなと嘆息。

〜〜〜

B級映画テイスト溢れる『ターミネーター』が名作たり得たのは、配役の妙もさることながら、非力でも未来に向かって進む主演二人の逃避行が見事に描かれていたからだ。続く『ターミネーター2』では、同じく非力な人間達がターミネーターを従者に得て最強の敵と闘い、ついには機械と人間が心を通わせるという感動的なラストを描いて完結したはずだった。

しかし、欲の皮が突っ張って脳を冒された人間達には、機械ですら理解できたはずの物語の本質が理解できなかったらしく、脚本・配役とも最悪な『ターミネーター3』を作ってしまった。この映画に関しては制作陣も反省があったのか、その後のテレビシリーズ『サラ・コナー・クロニクルズ』ではずいぶん軌道修正されたようだ。

ダーク・ナイト』のクリスチャン・ベールを主演に迎えて作られた今作『ターミネーター4』は、再三難を逃れて人類解放軍の指導者となったジョン・コナーが、将来自分の父になるカイル・リースを見つけ出し、救い出す物語だ。そこへ新旧ターミネーターや人間ハイブリッド型ターミネーターも登場し、物語のリアリティは3よりもずいぶんマシにはなっている。

だが、結局この物語は1と2の時点で出がらしてしまっているのである。これ以上ぐらぐらと煮出したところで、うまみは出てこず、せいぜい苦い味くらいしか出てこないのだ。

結局人類側反乱軍の成り立ちや規模、そしてその中でのジョン・コナーの位置づけもはっきりせず、キワモノ的巨大ターミネーターは登場するし、人間サイドのドラマはほとんど描かれていない有様である。だから、主人公達が何をしたとしても、そこに必然性や情熱を感じることが出来ず、ただ、あれよあれよと巻き起こる出来事を漫然と眺めるだけの映画になっている。

また、これは全くの個人的趣味なのだが、私はジョン・コナーの妻を演じているブライス・ダラス・ハワードの顔がものすごく嫌いなのである。したり顔でしゃべくる彼女を見ていると不快感が巻き起こってくるのである。

そういったいろいろがあり、結局最後まで楽しめることなく見てしまった。

今後誰がどのようにしたところで、出がらしから更に味を引き出すことなど叶わないことであり、『ターミネーター』シリーズに最早見るべきものはないと思う。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (9 人)DSCH[*] ハム[*] Ryu-Zen[*] Osuone.B.Gloss[*] TOBBY[*] stag-B おーい粗茶[*] けにろん[*] たろ[*]

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