ものすごい派手なアクションの数々と、場面のつなぎもスピーディで要領がいいので、最初から最後までひたすら「面白い！」と思わされてしまった。

ただ、あまりにもテンポが速く、しかもそう少なくない人物が錯綜するので肝心のストーリーを詳しく話せと言われるとイマイチ不明瞭だし、本当の黒幕は誰なのか最後までわからずじまいだったのだが、細部の確認のため何度も見る楽しみもあるし、スピーディーな画面展開をひたすら楽しめる利点もある。

お話自体は『カジノロワイヤル』からそのままつながっているので、前作による予習は必須だ。

007になる前の荒々しいボンドが、徐々に洗練されていく過程が描かれていて楽しい。今後のシリーズで過去のボンド同様のおしゃれなスタイルに変わるのか、このままワイルドなアクション路線を維持するのかは不明だが、私的には後者のワイルド路線の方がまた違った味で楽しめると思う。そうなるとQとかギミックの聞いたスパイ武器の存在が浮いてしまって不要になるので旧シリーズも好きな者としては残念なのだが、リアル路線を追求するならそれもいた仕方ないかとは思う。

ところで、劇中に登場するカクテルは「ベスパ・マティーニ」。ジン2/3にウォッカ1/3弱、キナ・リレをウォッカの半分加えて死ぬほどシェイクし、そこにレモンピールを加えるというハードなカクテルだ。ホテルのバーでこれを試してみたところ(キナ・リレがなかったのでベルモットで代用)、キレがあってうまいカクテルだったが、酒の弱い私は一杯で昏睡状態になりかけた。ボンドみたいに6杯も飲んだら病院直行間違いなしなので、酒に自信のない人はご注意あれ。