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[コメント] REC レック(2007/スペイン)

久々にホラー映画を楽しみながら見られた。料理に例えると激辛料理。次々に襲ってくる辛みに苦しめられながらもビッグウェーブを期待する感じ。それにしてもスペインの人って、普通にあんなうるさくて、しかも言うこと聞かないのか?
サイモン64

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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大阪なんばの敷島シネポップで、シケて塩辛いポップコーンを食いながら鑑賞。

〜〜〜

スペインのローカルテレビの取材部隊が「消防署密着24時」みたいな企画を撮ってる時に出動要請。アパートでけが人が出たらしい。行ってみると異様な老婆に警官が襲われ、その後建物は封鎖。どうも建物内でバイオハザードが発生しているらしい。かなりヤバ目な状況だけど、ここは一発テレビ屋根性を発揮して、最後の最後まで撮って撮って撮りまくってちょうだい!ってお話。

ホラー映画で最後まで、こんなに楽しかったのは久々のことだ。細部の巧拙はともかく、まるで激辛料理店で辛い食べ物を食っているときのような、「次にどんな辛さでビビらしてくれるのだろうか?」という期待にも似た感情を引き起こさせ、余計なことを考えさせてくれないのがいい。

ゾンビ系ホラーとなると、どうしても密室の籠城人間劇を描きがちで、話がスローになるきらいがあるが、この映画では四方八方から感染者が襲ってくる状況で、しかも吹き抜けアパートが舞台なので縦方向の動きも楽しめるという楽しい作りである。しかもこの映画のゾンビ(感染者と言うべきか)は、一回倒したからと言って、そのままくたばるようなヤワな連中ではないので、無数に感染者が出てこなくとも、次にいつ襲われるかわからないという恐怖を演出できている。

この映画の視点は、テレビ局のクルーが肩に担いでいるビデオカメラが唯一である。それも『クローバー・フィールド』みたいに後から入手したテープを落ち着いて見ているわけではなく、リアルタイムに発生している状況を、遠隔モニターを通して見ているかのような視点となっている。ただ、この形式だと、録画が停まって次のカットに入るときに時間が飛んでしまう理由の説明が付かず、見ている側が譲歩しないと時間軸的な折り合いの付かない側面がある。ただ、ちょこちょことカットを入れることで、「現場は常にハプニング満載」という不自然な状況からは逃れられているので痛し痒しと言うところか。

ただ、全体に話の作りがおおざっぱなところがあり、あらかじめ決められたストーリーを実現するために、登場人物が理性に反するような動きをする、少々無理のある箇所が散見されるのが残念だ。

終盤のモンスターと、その隔離部屋はGC版バイオハザードのリサ・トレヴァーを彷彿させる恐怖キャラであり、未見の人のためにこれ以上は書かないが、エンディングはこの手の映画としては王道的である(が、王道的すぎて少々寂しくもある)。

それにしても、スペイン人というのは、みんなあんなに終始うるさく、しかも官憲の言うことを聞かない民族性なのかと、終始うるさく感じて辟易した。特にヒロインのうるささは超絶で、私がカメラクルーなら「ちょっとは黙ってろ!」と罵倒してしまいそうなほどうるさい。しかし、それもまたこの映画の味付けの一つにはなっていて、いいところでもある。

全体を通して少々稚拙な面も見受けられるが、次にどうやってビビらせてくれるか最後まで楽しみに見られる、激辛料理映画であり、ゾンビ系ホラー好きには是非オススメしたい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)新町 華終[*]

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