[コメント] 影なき狙撃者(1962/米)
ほぼ傑作。中年女性の園芸クラブと共産党の洗脳実験を容赦なくカッティングしていく夢シーン、テレヴィ・モニタを組み入れた画面がすばらしい効果をあげている記者会見シーン、この前半の二シーンが突出してよい。意表を突く着想とそれを実現させる演出技術にフランケンハイマーの才を見る。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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恐ろしく、また切ない映画だ。洗脳という題材やアンジェラ・ランズベリーの怪物的なキャラクタはとても恐ろしいし、切ないということについても、たとえばローレンス・ハーヴェイが義父と妻レスリー・パリッシュを殺害するシーンにおいての、消音銃の無機的な発砲音が切なく響く演出なんて実に見事だ。
けれども、この映画の魅力はもっと多面的なものだろう。物を破壊しまくるフランク・シナトラとヘンリー・シルヴァ演じる韓国人(!?)の空手シーンは多分にコミカルでもあり、映画全体からは浮いてもいるのだが、妙な迫力としつこさがあって面白い。ハーヴェイとパリッシュの再会の場となるのが仮装パーティで、しかもパリッシュがダイヤのクイーンの仮装をしている、なんていう馬鹿馬鹿しさもよい。しかもただの馬鹿馬鹿しさではなく説話的な必然性に裏付けられた馬鹿馬鹿しさとなっている。うまい。
ただし、ジャネット・リー絡みのシーンは明らかに不要だろう。確かにリーのおかげで作品に華やぎが与えられてはいるのだが、それ以上にタイトさが損なわれている。
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