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[コメント] 羊たちの沈黙(1991/米)

ジョディ・フォスターアンソニー・ホプキンスの指が一瞬触れ合うだけのことをクライマックスに仕立ててしまう究極のプラトニック・ラヴストーリーに、これもまた究極の「肉」欲たるカニバリズムが不断に襲いかかり、かくして映画は無謀に美しい均衡に支配される。真の「アメリカ映画」は常にアメリカを脅かす。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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改めて見てもこの映画はヤバすぎる。何気ないはずの巻頭カット(アスレチック訓練中のフォスターがロープを伝って坂道を上ってくる)から「これからとてつもなくヤバイことが起きる」という空気に満ち満ちている。ひんやりと暗い湿度に侵された画面を禍々しく撮りきったタク・フジモトとともに、ハワード・ショアも最大級に賞賛したい。また、ホプキンス脱走シーンのように多分に「俗っぽい」演出で描かれるシーンにあっても、映画はある種の「品格」「優雅さ」とでも呼ぶべきものを保つ。それはそのままホプキンスのキャラクタ性に重なるものだ。そして何よりフォスター-テッド・レヴィン-スコット・グレンの三者間で交錯する「偽り」のカットバック、忘れた頃に再登場の暗視スコープには完全に参った。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)pori[*] ケネス DSCH[*] けにろん[*]

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