[コメント] 石中先生行状記(1950/日)
出来そのものは決して最上ではないが、成瀬巳喜男の卓抜な笑いの感覚が全面に展開された抱腹絶倒の、そして底抜けにハッピーな三篇だ。登場人物の一挙一動に微笑爆笑しながらも、同時に涙がこぼれるのを止めることができない。生きることの厳しさを鋭く見つめつづけた成瀬が描いた至上の桃源郷。
これほど掛け値なしに登場人物の全員を好きになることができる映画は決して多くない。堀雄二も木匠久美子も池部良も杉葉子も三船敏郎も若山セツコも(そして飯田蝶子も!)みんな大好きだ。とりわけ池部と三船がこんなに愛らしく画面に収まった映画を私は他に見たことがない。また、三篇とも印象的な「ダンス」の場面を持っていてとても嬉しい。杉の「お父さん、ぺちゃんこよ」や池部の「(杉を)張り倒してやろうかなあ」といった攻撃的な台詞も面白すぎる。私にとっては全シーンが宝物だ。
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