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[コメント] イタリア旅行(1953/伊=仏)

むろんすばらしい。が、自然光についてはまだ繊細に扱う余地があったように思える。また、イングリッド・バーグマンジョージ・サンダースの不仲はもっと容赦なく描いてほしい(このニュアンスこそが重要だというのは理解するし、バーグマンのいじらしさはよく出ているが)。車窓ショットは確かに『勝手にしやがれ』だ。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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映画は徐々に「死」のムードを導入しながら(伯父の遺産・遺跡・噴火口・「二日前に死んだ友人」の話・夫婦の遺体)、結末部において生死の臨界点としての(?)祝祭空間を現出させてみせる。あるいは、「観光旅行」とは本質的に「過去旅行」なのかもしれない。遺跡にしろ神社仏閣にしろ大自然にしろ、それは歴史(=過去)の、すなわち「死」の集積の現前だ。バーグマンとサンダースが丹念に観光地=死の集積地めぐりをしたのちに「共-生」の決断を可視化したものであるところの「抱擁」をしてみせるこの映画は、だから「単なる観光映画」として感動的だ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)煽尼采

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