「ダンスパーティ」によって主要な作中人物全員を等しく祝福するという完全無欠のハッピー・エンディングぶりも万歳三唱に価する。

さて、通信の技術・仕組みの著しい発達、具体的には携帯電話、電子メール／インスタント・メッセージ、ソーシャル・ネットワーク・サーヴィスなどの普及が「はなればなれ」や「すれちがい」といった状況の成立を阻んで「映画」の感情を損ないがちであることについては折に触れて述べてきたが、どうも賢い映画はそれすら逆手に取ってみせるようだ。というのも、ここで少女は、生まれてこの方ひとたびも会ったことのない実の父親の所在をフェイスブック検索一発で突き止めてしまう。この簡略化の恩恵を以て、演出家は語りの資源をより語るべきところに集中して消費できるようになるだろう。