[コメント] ヴァイキング(1958/米)
血の繋がりがある(ことを知らない)者同士の争い、という神話的悲劇の側面はいいかげんにしか前景化されないが、そんなことはどうでもよい。ジャック・カーディフの撮影には惚れ惚れするばかりだし、アクションシーンは迫力満点。そしてフライシャーらしい無駄な面白さに溢れている。
アーネスト・ボーグナインらの帰還を告げる巨大な笛の音が鳴り響き、村人たちがぞろぞろと集まってくるシーン。カーク・ダグラスが船から突き出たオールの上をぴょんぴょんと跳ぶシーン。どうしてこんな何でもないシーンがこれほど面白いのだろう。トニー・カーティスがお姫様ジャネット・リーに「みんなで漕いだほうが速い」と云って漕ぐのを手伝わせるくだりもいい。「物語」に回収されない面白さこそが「映画」の面白さだ。
それにしても、製作者でもあるダグラスはどうしてこのような役を演じることにしたのだろう。じゅうぶん目立ってはいるけれども、観客の共感の余地がほとんどない粗野で凶暴なキャラクタであり、結局は物語構造上の主人公カーティスの引立て役だ。案外そのあたりのバランス感覚はよかった人なのかもしれないですね。
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