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[コメント] シン・ゴジラ(2016/日)

キャラクタの造型が純粋である。ある種の映画において「殺人者」は殺人者ゆえに人を殺め、「刑事」は刑事ゆえに捜査をする。その行動は必ずしも心理的根拠を要しない。同じく「巨大不明生物特設災害対策本部」がゴジラ対策に粉骨砕身するのは彼らが巨大不明生物特設災害対策本部の成員だからでしかない。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







シン・ゴジラ』における人々がこのように属性(肩書き)を全うして生きることしか許されないのとは対照的に、「モノ」はそのモノの本来的な在り方を逸脱することで人々に貢献するだろう。破壊・殺傷をその本分とするあらゆる兵器はゴジラに対してまったく無力で、唯一いくばくかの損傷を与えることができた地中貫通爆弾はゴジラの手痛い反撃を招いてしまう。一方「新幹線」「在来線」は爆弾と化してゴジラに足止めを喰らわせ、「超高層建築物」は倒壊してゴジラを転倒させ、「ポンプ車」はゴジラに血液凝固剤を経口投与することでその活動を停止させる。

人が自らの属性に従って機能的に(反-心理主義的に、と云ってもよい)活動すること。モノが非-本来的な用法で活用されること。これらは端的に「映画」の基本である。『シン・ゴジラ』はまず正しく基本的だ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)ふかひれ カルヤ[*] tredair[*] ぽんしゅう[*] 月魚[*] Sigenoriyuki[*] DSCH[*] けにろん[*]

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