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[コメント] 海を感じる時(2014/日)

ディジタル撮り時代の映画が抱える困難とは、つまらない画面のつまらなさがあられもなく露呈することにもあるように思う。フィクス長回しで芝居を凝視する方法がここで退屈を招きがちなのは、カメラが絶対的に最適な位置取りでないためもあるが、フィルムの触感さえあればこれを愉しむ術もあっただろう。
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市川由衣池松壮亮は時代がかった生硬な台詞を大過なくこなし、無言の時間を多く含む芝居にもよく耐えている。とりわけ、映画に失敗作の烙印が押されることを撥ね退けているのは市川の粉骨ぶりだと云ってもよいが、同時に彼女のキャスティングが議論の余地なしに最善であると見做すのはさすがに無理がある。「あの女優のほうがよかったのでは」と代役候補の名を複数思い浮かべることは決して困難ではない。

母娘の修羅場が演じられる最中にもかかわらず市川はばりばり煎餅を食っている、というシーンなどは面白い。少々あざとくもあるのは確かだが、各場面はこのような演出の攻め手をこそ持っていたい。

(評価:★3)

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