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[コメント] 王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件(2010/中国=香港)

「いいなあ大仏。もっと大仏映画作られないかなあ」いかにも無垢な円い瞳を爛々と輝かせながら私は呟いた。「巨大」は端的に映画的である―という命題の真偽判定はひとまず措くにしても、常軌を逸して巨大な人工物に人間の偉大と狂気と愚蒙を見て取って胸を高鳴らせるのは私ひとりの性情ではないはずだ。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







何はともあれ大仏である。大仏に目をつけたのが何より偉い。人体発火もそれなりに映画的かつ魅力的なモティーフではあるが、ここで人体発火の仕組みがどうであったかなどということは見終えてしばらくすれば忘れてしまうだろう(実際、私はすでに忘れている)。また謎解きを物語の縦軸に据えたがために話の運びに暫時わずらわしさもつきまとうが、大仏倒壊が催す背徳的な爽快感こそ、その方法と規模において「映画」という表現媒体が占有するエモーションだと云いたい。

欲を云えば、大仏のグラフィックにはもっと実在感があってほしい。さらに欲を云えば、実際に原寸大で建立した上で破壊してほしい。が、その望みは、狂った製作者と監督が現れてハリウッドで大仏映画を撮るときまで持ち越すことにしよう。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)セント[*] けにろん[*] DSCH

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