[コメント] モンスターズクラブ(2011/日)
シネスコである。このような低予算日本映画のシネスコ作品が近頃あったかしらと記憶を辿り返しても、『死にゆく妻との旅路』くらいしか即座には思い浮かばない。特筆すべきヴィジュアルを持ったシネスコ作『月光ノ仮面』にしても角川映画だから、P&Aを含む予算面でこれらと同列に扱うのは憚られがち。
有体に云って、映画の肉体が貧弱で、肥大した観念を持て余している。演出家は風景撮影や自給自足生活の細部によって「映画」にあるべき具体性の確保を図ったのかもしれないが、これではまだ物足りない。
あるいは、セオドア・カジンスキーにまつわる伝記的事実を借景しつつ、日本的風土においてJ・D・サリンジャー「グラース・サーガ」を語る試みとも云えそうか。そこで「偉大な長兄」役を窪塚洋介に任せるというのは発見的な配役だが、『源氏物語 千年の謎』や『ヘルタースケルター』においてさえ見所を提供していた窪塚にしてはあまりに刺激を欠いた芝居に終始している。
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