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[コメント] イップ・マン 葉問(2010/香港)

奥さんリン・ホンの性格と役割が単純化され、サイモン・ヤムのキャラクタが激変し、そもそも一〇年以上も時が経過しているようには見受けられないなど、前作との連絡にはかなりいいかげんなところがあるが、引き続きドニー・イェンとイップ・マンは一心同体だ。むしろその静かなる凄みはいや増している。
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もちろんダーレン・シャラヴィ戦にだって全力で手に汗を握るのだけれども、やっぱりサモ・ハン・キンポー戦の面白さには敵わない、というのが一篇の映画としては厳しいところかもしれない。中盤で既にクライマックスを迎えてしまっている。しかしながら、そんなことは瑣末な問題だと云ってしまいたいほどサモ・ハンのアクション演出は全篇にわたって創意に満ちている。魚市場における一対多アクションにも惚れ惚れするばかりだ。あるいは「場のヴァリエーション」という観点から眺めても、シャラヴィ戦の「方形のリング」に対してサモ・ハン戦が「足場の不安定な円卓」であるというのはこれ以上にない的確な選択だし、ドニー・イェンが武館を開く場所が「屋上」というところからしてまず奮っている。

ドニー・イェンの演技設計もほとんど完璧だ。シーンごとにコメディとシリアスの色分けが顕著な作劇に安定的な運用をもたらすのは、いかなるときも涼しげに保たれた彼の顔だ。それはまた終盤において披露される鬼気迫る表情の印象をいっそう強めることになるだろう(まあ結局のところ前作を踏襲しているということですが)。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)死ぬまでシネマ[*] Orpheus まー ハム

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