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[コメント] デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断(2010/米)

夢語りから始めるのならば尚のことトラブルはもっと悪夢的であってほしいが、そもそもギャグと作劇に関する着想が数的に不足している。主演二名もこの企画に最良の配役だろうか。個人的にはランドール・ポスター印の選曲に乗せられるのにもそろそろ少し飽きを覚えてきたところだ。カースタントは及第点。
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ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』に続いてザック・ガリフィナーキスをたかだか共感可能な異物にしか仕立て上げないトッド・フィリップスは、人情噺の巧みな語り手ではあっても底抜けに笑えるコメディの演出家ではない。笑いの臨界点突破を目指す限りにおいて、「異物」への共感はコメディの敵である。『我輩はカモである』のマルクス兄弟、『赤ちゃん教育』のキャサリン・ヘプバーンのどこに共感の余地があったというのか、などという古の例を引くまでもない。私たちはまだ『ビーン』の惨事を忘れてはいないはずだ。

しかしもちろん、以上はいささかアンフェアな物云いかもしれない。たとえば公衆トイレにおいて唐突に繰り広げられる「演技テスト」のシーンに涙腺が緩んでしまったことを私は否定できない。脚本・演出はワンシーン内で映画の感情を縦横に大きく揺らす技を持っている。不真面目な状況にのっぴきならない感傷を引き起こす力を持っている。だが、やはりそれは人情噺である。

(評価:★3)

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