ただし、チーム成員の特殊能力は活かしきれておらず、チーム映画としては心許ない。数字娘とかもっとちゃんと活躍させてあげたいじゃないか。迂回の多い語りも、それがジュネの魅力であるとは認めるが、王道的展開を持つこの作品においてはしばしば高揚感を寸断するように働いてしまう。社長二人を中東の砂漠に連れ去ったと錯覚させる音トリックの種明かしなんか非常にかったるい。アヴァンタイトルで触れられ、それゆえ四〇年代ワーナー的タイトルバックを導くことになるハワード・ホークス『三つ数えろ』も確かに迂回の映画だった。しかし『三つ数えろ』において奇跡的なのは、迂回に迂回を重ねてワケが分からなくなりつつも一気呵成のテンションを右肩上がりに持続させた点にある。『ミックマック』にもまた一気呵成の畳み掛けこそがほしい。ダニー・ブーンと軟体女性ジュリー・フェリエのラブストーリーを復讐譚と同時進行させるあたりは（もっと繊細かいいかげんかの両端どちらかに振ったほうがよかったと思いますが）ハリウッド的で好ましいけれども。

兵器工場の爆発シーンは、その爆風の表現にかけて新しい。