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[コメント] 9〈ナイン〉 9番目の奇妙な人形(2009/米)

「再利用」の映画。様々な人類の遺物を所期の目的・使用法に囚われない仕方で駆使=再利用することが映画内の全アクションを導いている。どこまでも廃墟活劇を貫こうとする態度がよい。あるいはデザイン・フェチが作った映画。キャラクタ・デザインをあれこれ練っているときが最も楽しかったに違いない。
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**ネタバレ注意**
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アクション演出にはまだまだ洗練の余地が残されているけれども、これだけのスペクタクルを連続的に提示されたらとりあえず不満も云いたくなくなる。モノ間およびカット間の連携という点で最も高度な達成を見せたアクション・シーンはドラム缶作戦のくだりになるだろう。気の遠くなるほどに緻密な仕事が無機物アクションに魂を宿している。

事実上2を殺したに等しい9の後悔や、それに対する5の憤りが淡白すぎるから、それ以降の心理的な起伏の仕掛けがうまく機能していない。そもそもそのような仕掛けがほとんど為されていない。というよりも、「泣かせる」という意味でのエモーショナルな作りははじめから目指されていないのだろう。観客によっては物足りないと思うかもしれない。しかしながら、「死んだ」人形たちが無言のまま別れの身振りを演じて(また満足げな表情を浮かべて)気体的に昇天する、というのは素直に胸に迫るものがある(私は『ジョジョの奇妙な冒険』で一〇代を過ごした人間なのです)。終末世界に初めてもたらされた音楽がジュディ・ガーランド“Over the Rainbow”であるのは適切。を通り越して安直。をさらに超えてやっぱり感動的だ。

 誰が各キャラクタの声を当てているのか、そんなことを気にするということすら思いつかぬまま見始め、また異国の方の声を記憶するのが非常に不得意なものですから、9はイライジャ・ウッドかしらという以外さっぱり分かりませんでした。エンディング・クレジットで確認したところ、優しげな声の2がマーティン・ランドー、美人声の7がジェニファー・コネリーというのはナルホド納得。でも云われなければ分からんよ……。6はクリスピン・グローヴァーかあ。

(評価:★4)

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