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[コメント] ロープ(1948/米)

特に見るべきはジェームズ・スチュアート-ジョン・ドール-ファーリー・グレンジャーの三角関係の描き方と照明へのこだわり(終盤、外のネオンによって室内が赤や緑に明滅する、など)。ヒッチコック作品中でも変態度は高いほうだと思う。
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一部を除いて画面自体のテンションは高くない。それはおそらくカメラワークにおいてワンシーン・ワンショットを成立させることが優先されているからであり、(たとえば、溝口の長回しにあるような)「決め」の画面に乏しい(あるいは「決め」と想定して撮った画面が思いのほか決まっていない)ためだろう。そのカメラワークの心許なさは、しかし神経症的な不安感の表象にも見え、知能の高いはずのドールがどうも頭の弱さを感じさせてならないことをも正当化している。

 俳優の背中などによって画面を黒く塗りつぶすことでカットの継ぎ目がごまかされているが、それ以外で明らかにカットが割られている箇所が私の記憶する限りでは二つある。「ニワトリなんか絞めてないヨ!」と云い張るグレンジャーからスチュアートへのカッティング。スチュアートと動揺を隠せないドール&グレンジャーの三人から「電話ですよー」と云うメイドへのカッティング。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)IN4MATION[*] junojuna[*]

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