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[コメント] ランジェ公爵夫人(2007/仏=伊)

なんと贅沢な画面。それは演出家・撮影者の力量のみによるのではなく、美術や衣裳の出来なども含めて。まだまだフランス映画には体力があるようだ。余韻を拒むかのようにショット/シーンを若干早目に切り上げる編集のリズムが内的な躍動感を生み心地よく、インタータイトルの挿入も説明的というより批評的に働いている。
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いきなりの島の全景ショットであるとか思わずリュプチャンスキー万歳! と叫びたくなる最高のショットが数多くあるとは云っても、そもそも「大人の恋の駆け引き」なんぞを映画にしても別に面白くはないのであって、この映画が面白いのはギヨーム・ドパルデュージャンヌ・バリバールも稚気に溢れているからだ。もちろん彼らは真剣そのものなのだから、稚気とはあるいは「幼児性」とでも云い換えたほうがよいかもしれない。真剣さゆえの幼児性。幼児性ゆえの真剣さ。「絶対にランジェ公爵夫人を愛人にするゾ」というドパルデューの独り言なんて笑うしかない。文学作品を映画化するコツは、やはり「文学」との距離の取り方にあるようだ。リヴェットはそれを知悉している。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ぽんしゅう[*] 草月 くたー

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