[コメント] アンタッチャブル(1987/米)
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結局は「ケヴィン・コスナーの物語」でしかないという虚しさがつきまとう。むろんコスナー自体は決して悪くはないのだが、これはやはりチーム・プレイ/チーム・ワークの映画として撮られるべきものであったと思う。それは何もチャールズ・マーティン・スミスとショーン・コネリーが途中退場することだけを指して云っているのではない。途中退場するならするでもっと演出のしようがあっただろうし、そもそもデ・パルマの演出はコスナーひとりにしか焦点を当てようとしていないのだ。したがってスミスとコネリーの死すなわち「チームの成員の死」というのっぴきならない事態がチームに対してどのような影響を及ぼすかが不分明にしか描けず、たかだかコスナーのリアクション演技を要求するに留まる。とりわけコネリーはチームおよびコスナーの「教育者」であるのだから、その彼の死があのような程度の低い演出で済まされるはずがない。まさかオペラの音声を重ねてしまうなんて!
だからコスナーが家族を避難させた後での、四人が銃を抱えて並び走る真正面ショットが最もよく「チーム」を演出できていた瞬間であり、そこからは展開の加速にもかかわらずむしろ映画は失速する。まあ確かにラストの「記念写真」にはグッと来てしまうのだが、それはただ私が涙腺ゆるゆるの馬鹿者だからである。チームを描いてこなかったデ・パルマがそこで記念写真を登場させたところで、それは前半の「写真撮影」に呼応するための単なるシナリオ上のテクニックとしか見なされない。
ロバート・デ・ニーロのキャラクタリゼーションも甘い。甘すぎる。だが、こればかりはデ・パルマだけの責任というわけではあるまい。
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