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[コメント] 小早川家の秋(1961/日)

これも中村鴈治郎の映画だ。独壇場というほどではないにしても、中村がこの作品において果たしている役割は単なる主演というものを超えている。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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確かに『小早川家の秋』は「娘の結婚」「父の死」「家族の解体」といった小津的主題のヴァリエーションのひとつでもあるが、この作品とそれらの主題を共有する他の作品との決定的な違いは、(まあ厳密に云えば他にもいろいろあるけれども)やはり中村の存在だ。

つまりこれは、笠智衆的な父親像では不可能だった様々な事柄に、中村という役者を得たことで初めて挑戦しえた作品だと云えるのだが、その中でも私が最も感心したのは、中村の「アクション性」とでも云うべきものである。 特に中村がかくれんぼをしている途中に家を抜け出すシーン。小津の独創的で正確なカット割りの力を借りて、ここでの中村はまるでアクションスターだ。

(評価:★5)

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