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3819695さんのコメント: 点数順

★4チョコレート・ファイター(2008/タイ)緻密に設計されたアクション連携とジージャーの軽やかでしなやかな身のこなしは、ジャージー男との対決においてとりわけ顕著なように、格闘アクションを「ダンス」に接近させる。その点で私には「格闘アクション」に接近したダンス・ミュージカル『掠奪された七人の花嫁』が想い起こされる。 [review][投票(1)]
★4サブウェイ123 激突(2009/米)会話の活劇。決定的瞬間を先延ばしにする遅延行為としての「饒舌」が活劇となる。活劇とは、引き延ばされ、またそれによって濃密化された時間のことを指す。ジョン・トラヴォルタの「カウントダウン」は相手に迅速な決定を促すが、決定的瞬間をカウント後に先送るという点でやはり本質的に遅延行為である。 [review][投票(1)]
★4夏時間の庭(2008/仏)子供と犬による導入部がまず嬉しい。綺麗な画と丁寧に施された音。「静かな」物語だが映画には躍動感がある。持続と省略の妙。アサイヤスの民主的な演出は全キャラクタ、特に家政婦を輝かせる。ラストのパーティで音楽を変えて踊りだす瞬間の感動は、近年では『恋人たちの失われた革命』のダンスシーンに次ぐ。 [review][投票(1)]
★4ザ・フォッグ(1979/米)恐怖のメロディ』とは対照的な作劇上の方法論で「DJ」をよく活かしている。複数の場で並行する物語のラインを「ラジオ放送」で横断的に結びつけつつ、それらを最終的に教会とラジオ局の二本に縒り合わせ、自在のカットバックで緊張感・恐怖感を操作する。ほとんど匠の技だ。カーペンターは巧い。 [review][投票(1)]
★4黒猫・白猫(1998/独=仏=ユーゴスラビア)天井知らずのテンション。底抜けのポジティヴィティ。登場人物よりも登場動物のほうが多いという無茶映画(アヒルの量!)。「大量」はそれだけで映画的だ。映画の画面造型においては「量」が「質」を生む、という云い方をしてもよい。クストリッツァと云えば上下の運動だが、花嫁捜索シーンの横=水平アクションも印象的。[投票(1)]
★4結婚哲学(1924/米)何を以って人はこれを「ソフィスティケイテッド・コメディ」などと呼ぶのか。確かに人間の滑稽が描き出されてはいるが、「笑えるか否か」のみを基準とすればこれは断じてコメディではない。またソフィスティケイテッドも形式面に対する形容でしかないだろう。しかし、むろん、それらがこの映画の瑕疵となることはない。 [review][投票(1)]
★4砂と霧の家(2003/米)繊細かつ力強いロジャー・ディーキンスの光の操作は一級品だが、少々これ見よがしなところが強いか。ジェニファー・コネリーベン・キングスレー一家の弱者ぶり争いの現代的な複雑性、ロン・エルダードが登場当初の好青年像を裏切っていく仕方が面白い。キングスレーが迎える帰結の痛々しく特異なさまも胸を裂く。[投票(1)]
★4ストーカー(1979/露)ハッタリの映画。正しい。「一秒間に二四枚の写真を映写してそれを動いているように見せる」という映画の原理がそもそもハッタリであり(二四が二〇や三〇であっても本質的な差異はないといういいかげんさ!)、作品とはハッタリのバリエーションにほかならないのだから。廃墟の造型やトロッコ・電話の使い方がよい。[投票(1)]
★4吸血鬼ノスフェラトゥ(1922/独)これはロード・ムーヴィである。と云うには少々無理があるが、これが「移動」の映画であり、実に多彩な「場所」のカットを持った映画であることに異論はないはずだ。一般住宅・城・癲狂院・街路・森・山岳・川・草原・船・海・砂浜。美術の恐るべき達成度。ただのひとつのカットもおろそかに撮られていない。 [review][投票(1)]
★4黄金時代(1930/仏)ブニュエルの原液――豊かな着想、強烈なイメージ、その自由な連鎖。一度見たらもうそれを見る以前の自分と同じではいられなくなる、つまり人生を変えてしまう映画。と云ってもそれは大層なことではなく、たとえば、私たちはもう『黄金時代』を思い出すことなしに「サソリ」を見ることはできないということ。 [review][投票(1)]
★4ひき逃げ(1966/日)まったくもって異形のルック。シネスコにもかかわらず黒白、というだけならまだ異常とは云えないにしても、唐突に挟み込まれる夢・妄想・フラッシュバックの狂気的な造型はなんだ。過剰に照明の操作された画面はSF映画の第三種接近遭遇シーンのよう。これが成瀬と高峰が辿り着いた地平なのか。 [review][投票(1)]
★4素晴らしき日曜日(1947/日)まず中北千枝子が丸いのに驚くが、各シーンのパンチ力も相当なものだ。ボロアパートの主人や浮浪児の不気味さ。「夢の喫茶店」小芝居の気恥ずかしさ。物語展開の躁鬱と屋外/屋内空間の開放/閉塞性が必ずしも完全に同調しないあたりにむしろ巧みさを感じる。そして何より、題名を反語に終わらせない逞しさときたら![投票(1)]
★4クリスティーン(1983/米)キース・ゴードンが巧い。彼の求心的な演技が映画を支えている。肝心の自動車は人格や女性を感じさせないが、それが欠点かどうかは判断が難しい。また悪ふざけを多く含んだ他の映画では見過ごしがちだが、カーペンターの正統的な画面構成力の高さも痛感する。映画が大好きで、よく学び、そして才能がなければこうはいかない。[投票(1)]
★4ショック集団(1963/米)探偵物として上首尾に仕上げることには興味を示さず、演技のみに頼らない多角的な「狂気」の造型にもっぱら精を出している。膨大な量の心内発話(ヴォイスオーバー)に唐突なカラーシーンの挿入。そして何と云っても「廊下」! キャラクタではオペラ野郎ラリー・タッカーが最高。面白すぎる。 [review][投票(1)]
★4ザ・シークレット・サービス(1993/米)実にイーストウッドにふさわしい物語だ。取り返しのつかない過去。自身と犯人の相似性。不相応に若い女性とのロマンス。「高所」演出も頑張っている。特に終盤のそれはヒッチコックだ。そしてやっぱりジョン・マルコヴィッチの突き抜けぶりが決定打。銀行員(とそのルームメイト)殺害の容赦のなさが凄い。[投票(1)]
★4サイン(2002/米)幼稚さ。幼稚さゆえの「面白さ」に対する忠誠。古典の「子供」たる自覚。プロデューサーとしての有能さ。シャマランスピルバーグの歳の離れた弟だ。「真顔でギャグをかます」感覚も「笑い」において本質的かつますます現代的である。勿体ぶった薬局シーンの無意味ぶりが白眉。 [review][投票(1)]
★4ブロークン・イングリッシュ(2007/米=仏=日)登場するキャラクタ全員が面白いのだが、やはりパーカー・ポージーがとりわけ魅力的だ。男運のなさまでもが魅力的。好きにならずにいられない。また全シーンが映画的な面白さを持っている。ヨガ! 超能力者! 物語はお定まりであっても一瞬先のカットを予測することはできない。驚きがある。いい映画、面白い映画の証拠だ。[投票(1)]
★4ザ・フー:アメイジング・ジャーニー(2007/英=米)原副題の“The Story of the Who”が最も端的に内容を表している。これがThe Whoの正史となるのだろう。バンドの生涯が一貫した全体像として理路整然と提示されており、これからザ・フーの「物語」を追おうとする者にとっては『キッズ・アー・オールライト』より先に見るべき映画となるに違いない。 [review][投票(1)]
★4ハレルヤ(1929/米)大した音楽映画だ。牧師となったダニエル・ヘインズの説教パフォーマンスが圧巻。聴衆の忘我と恍惚はほとんどロック・コンサートのそれと変わらない。ファム・ファタルと呼ぶにはいささか幼さが勝ちすぎた、しかしそこがまた危うい魅力ともなっているニーナ・メイ・マッキニーの身体性もすばらしい。 [review][投票(1)]
★4アンダーカヴァー(2007/米)活劇としてもドラマとしても最高水準。すべてのカットにアイデアがあり、映画をかたちづくるあらゆる要素が適切に按配されている。またホアキン・フェニックスがすばらしすぎる。演技者としてというよりも、鈍重な身体をよれよれと引きずる生々しい一個の被写体として。つまりは「存在」として。 [review][投票(1)]